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小説投稿場
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絹豆腐の物置き場〜廃棄場〜
By 絹豆腐
2018-11-01 14:44:07
此処では絹豆腐キャラのSSやら後日談やら日記やら冒涜的ななんやらを投げ捨てる予定です。

ひょっとして:駄文の墓場
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By 絹豆腐
2018-11-20 01:44:03
10月26日
<著者:赤き雷迅の騎士>

最近の白夢の動向の変化、そして白のアリスの不審な動きについて調べている途中に遭遇。
ガーランド王国最後の王妃、エリーザベト・ミュラー。
愛深き故に民の為に死に、今は愛故に赤を宿し愛する民を今なお守り、しかして狂気故に氷棺に閉ざしてしまう者。

私と同じ、赤のゲートキーパー等と呼ばれる存在となってしまった女。

思うところはあるが、彼女は強い。気丈である。危ういところはあるが、その時は支えてやればいい。

過去の幻影を観ていた彼女とこの領域についての調査も兼ねて同行することになったのだが、途中で王都側に巨大な白夢達が組み合わさった冗談のような南瓜が出現。

冒険者達を、というよりあれはギルドを狙っていたように見えるが襲撃している光景に彼女は自らの赤が暴走すれば彼らを殺め、彼らからも赤であると危険視されておりどちらの意味でも危険を承知の上で救出すると決めたらしい。

ならば私はせめてと、彼女が狂わぬよう、冒険者達が王妃へ刃を向けぬよう時間稼ぎをしてやることにした。

流石というべきか、赤の異形相手にも王妃の身分でありながらその身に宿る氷精の力を振るい勇ましく戦った王妃はあの奇妙な南瓜仮装に扮した白夢を討伐してのけた。

その後、何故か彼女が何やら奇妙な様子だったのが気がかりだが彼女の氷馬にて離脱することにした。

以前はこれほど大掛かりな活動を白夢がすることはなかったが、やはり何か変化があったらしい。
今後も注意を払う必要がある。


虚白の地/黎明と黄昏の領域
エリーザベド・ミュラー様とエンカウント

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By 絹豆腐
2018-11-20 01:59:04
10月31日
<著者:ボルドウィン=グランバッハ>

虚白の地の異変、変化を察知し報告の為に戻ったは良いが、下らん仕事を押し付けられた。ハロウィンで餓鬼共に菓子を配れ等と、そのようなものは末端の修道女にでもやらせれば良いものを何故この私がやらねばならんのだ。解せぬ。

そして、仮装ばかりの偽物の中に本物の魔女を見付けた。フィリア。魔女の店を営み、怪しげながらも効果は確かな薬や道具を売りつけて店に篭る輩が日中街を歩くとは珍しい事もある。

雨や槍が降るかもしれん、と思ったが正直そんなものとは全く別物の問題が降って湧いてきた。おのれ魔女め、出不精が出歩く珍しい事なんぞするからに違いない。

ともあれ、問題――ハロウィンの暴徒。正確には暴徒のように振る舞う怪異、始めは半信半疑だったがあれは紛れもなく白夢であった。

天蓋花の守護結界を透過したのか?そもそもこれだけ大量の白夢が彼の地ではなく何故街中に湧いてきた?謎は多いが、魔女に協力をさせて何とか指揮官であったらしい何とも俗物的な酔っ払い白夢を沈黙させる事で他の白夢を撤退させる事に成功した。

何となく何故あれだけ攻撃的だったのか予想がつくが、あまりに阿呆らし過ぎて語る気も起きん。

しかし、巫山戯けてはいたが、この状況は笑えん。何が起きた?何が起きている?

今回は悪ふざけで済んだが、もしこれが本当に害を成すのが目的であれば被害は甚大となっていたに違いない。

魔女には後で作戦の為に利用させて貰い、ついでに扉を蹴破ってしまった店の修繕費を請求するようにと伝えておいたが、まああんな店がそんな高い修繕費を必要とするとは思わんしこれぐらいは良かろう。

まずは事件の顛末を報告し、調査を進めねばならん。


(神経質な字で後日、更に殴り書きされる。)
おのれ、魔女!なんだあの額は!?扉は良いとして軽く踏んだ程度で砕けるようなやわな屋根や白夢が傾けた壁の修繕費まで何故払わねばならんのだ?第一備品もそれほど壊れていたように見えんぞ!そもそもそれにしたって額はこれが適正だというつもりか?油断した。次に店を訪れた際にはきっちり余分な金を払った分飼い主に対し何をしたのかしっかり教えて反省させてやらねばならんようだな。




銀の国/神聖都市シルヴァ/ハロウィンイベント
フィリア様とエンカウント

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By 絹豆腐
2018-11-20 02:20:30
11月1日
<著者:蓬莱紫苑>

一日の始まりは最低。けれど退屈な平穏を破るという意味では少し愉しくはあった。
今朝、店を開ける準備をしようとしたら突如として入口から何かを投げ込まれ、戸は壊されてしまった。

怨まれる理由なら人の宿業よりも多く思い当たる節がある。けれど、投げ込まれた物を見れば投げ込んだ人物に心当たりは全く無かった。

少なくとも私の記憶の中に、南瓜を投げつけて逃げ去るような悪戯を仕掛ける妙な悪餓鬼に恨まれた覚えはない。まあ、もしかしたら拐して喰らった男とか女の子供だとかそういう線も無い訳ではないが。

ともあれこれでは店は開けない。元より人里に溶けこむ為のものだ。織物屋の真似事ができなくても困りはしないが、かといってされるがまま泣き寝入り等性に合わない。

蜘蛛の巣に手を出して、無事に逃げられるなどと思わない事だ。

逃げる背はすぐに雑踏に消えたが、背丈からして子供、しかし奇妙に南瓜の被り物をしていた。あとは、妙に白かったか。

特徴は捉えた。あとは探しだすべく京を歩いていたが、どうも賑やかしい。

はろうぃん、波浪院?なる大陸の文化がこの青憐に馴染んで久しいらしいのだが、どうにも私には慣れない。お盆と何が違うのかしら?

やがて路地裏へ入る白い後姿を見付け、追って入ればそこにいたのは確かに白いヒトが居た。――雪のように真っ白な男。青年。追っていたのは子供ほどの背丈だから違うであろうが、一応何か知らぬかカマをかけてみた。

狼狽していたが無実らしい。

しかし、ヒトではあるが奇妙な人間だ。呪い、それも相当に執念深く、魂に爪を食いこませている悪辣な呪い。夏にこそ腐敗し成熟する呪いは相応しいが、この呪いは秋や冬の寒空にこそ相応しい人の心胆を凍らせる代物である。

名を雪白・七彌・お、大烏燕?とか言うらしい。

犯人ではないが、興味を惹かれる男であったがそれ以上に気になるモノを彼は捕まえた。

白くて丸い、すべすべして、もちもちした何か。

様々な妖を見てきたがそのどれとも違う。そも、妖ですらない。

だが当然人でもない。なんだこれは?

正体は分からないが、とても触り心地が良くてずっと触っていても飽きなかった。恐ろしい。

やがて路地を抜けては、街は妖ならざる白い怪異が跋扈し、混乱を招いていた。

正体は分からないが、悪意を以て悪事を成すならば私と同類だ。

遠慮はいらない。

雪白と別れ、白い怪異、恐らく店に南瓜を投げつけた者も仲間なのであろうと奴らの群れから探し出す事にした。

護国の兵共が邪魔で思うようにはいかなかったが、それらしい者は見つけた。

――悪戯小僧に躾をしてやった。



青の国/宝蓮京/ハロウィンイベント
雪白・七彌・オーウェン様とエンカウント

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By 絹豆腐
2018-11-20 02:29:30
11月4日
<著者:レム>

あの時、何が起きたのか。わかんないからこうやって書いてみるけど、やっぱり分からない。

あの日、詰所の大人が何故入国させたかも怪しい見るからに怪しい白衣に仮面を着けた血塗れ男と白いフードを被った小さいのを追ってヴィオラ樹海に入った。

密猟者か何かかと思ったからだ。

そしたら突然白衣の男がフードの小さいの相手に刃物を向けて、咄嗟に体が動いた。

大人とは違う。俺は弱い者虐めは嫌いだし、理屈をつけて中々動かない大人と違ってたとえ危なかろうが動ける。

だからフードの奴を庇って……庇われた。

白衣の男に腕を掴まれて、引張られて。そしたら男の腕に噛みつく牙が見えた。

フードを被った小さい奴だ。何だあれは。森の獣ではない。魔物でもない。白くて、獰猛で、体の殆どが口で出来ているんじゃないかってぐらい大きく口を開けて牙で腕に噛みついていた。

もし、あの密猟者?が庇ってくれなかったら俺は……

怖かった、情けなかった。頭が真っ白になった。だけど、当たり前だろ?ちっさくても化物は化物で、しかも見たことが無い、見ているだけで何か胸がざわつく気味の悪い奴だったんだ。

それから先はあんまり覚えていない。

震えていたら、いつの間にか男はその大口の化け物を連れて何処かに行ってしまった。

追いかける気は、なくなっていた。それより生き延びたって、安堵してしまった。

情けない、かっこわるい。こんなのでは大人を見返せない。

大人に聴く訳にもいかない。話せもしない。

だから、今度は聞く。あの男に。何故助けたのか、お前達はなんなんだ、って。



翠の国/ヴィオラ樹海/ハロウィンイベント
スィルーグ様とエンカウント

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By 絹豆腐
2018-11-20 02:33:44
11月10日
<著者:フェデギア>

(黒き暴君の書いたとおぼしき恐ろしく下手な字はとても読めたものではなく、また、文章自体も短い。文章とかそういうのが苦手なのだろう。だが、短いながらも、苦手ながらもこうして書き起こすぐらいにはこの日は特別だったのだ。否、普通だ。かつての普通、日常の片割れが戻ってきた。傍に居て当然の大切が。だから、書いた言葉は酷く歪つだが――「お か え り」。恐らくはそう書かれていたに違いない。)



黒の国/煉獄の帝都・ドルカーナ
緑竜華様とエンカウント

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By 絹豆腐
2018-12-13 18:19:20
12月9日
<著者:ティエラ=オージュ>

※後日修正

銀の国/神聖都市シルヴァ/アンジェリア様とエンカウント
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By 絹豆腐
2018-12-13 18:19:54
12月12日
<著者:葛籠有栖>

さて、いよいよ邪智のチェシャの戯れも佳境。

彼らが掌で踊り続けるだけで留まるか、それとも意図せぬ手段で逆転の一手を打つか。

どちらにせよあの隣人たる悪意の猫は嗤うであろう。踊るなら滑稽だと、逆転するなら天晴だと。

まあ、良い。私にとっては白夢がこの短期間でどれだけ世界に認知され、影響を及ぼす範囲を広げられるかさえ確認できれば舞台が如何なる結末を迎えても大事ではないのだから。

しかし、舞台の『本』を読んでいる最中に、新たな役者、駒が増えていた。

それは黒の国にいた。

黒の国――思うところはある。けれども私は敗者。此処にあるのは形骸に過ぎない。

ならば、語るべき事は何もない。

だからこそ、この身は白のアリス、葛籠有栖と名乗っているのだ。

黒も銀も翠も青も価値は等しい。

一々国の一些末に関わる必要はない、その筈だ。

だが、この駒はどうにも気にかかった。

故に、少し戯れることにした。

蒼い月の下、白金の砂漠の丘に居たのは竜人であった。

弾き語り、吟遊詩人、旅人。

名をアンゼと言った。

中々愉快な男であった。善悪で道理を語らずに、自らの価値観でこの猫の戯れを彼なりに評価していた。

そこで、猫に彼の存在を気付かせる為に、調べを捧げさせた。

旧き獣の唄、翠の国マーテラに語り継がれる詩を。

皮肉なものだ。地の精霊、智の大賢人グノーメ=タイタスクロウ。

猫の前身が好んだ西方公国アルディエイジャに伝わるそれを原型とした唄が、今の貴様に贈られる事となろうとは。

皮肉が過ぎると、つい私も歌を口ずさんでしまったが、歌は難しいな。うむ。感情を乗せて、情緒豊かに歌い上げるというのはこの身には未だ難しいのだと実感する。

アンゼ、彼は世事ではなく褒めていたと言っていたが、上手く此方の問いにも答えを曖昧にし迂闊にも抱える札を晒さない強かさがある彼が何処まで真実を語ったものか。

六業――六刃――ボルドウィン=グランバッハーーロレンス=ハルトマン)の件にもあれは本人が誤魔化していたがあの反応は一巡前にて何らかの繋がりがったと考えられる。

とはいえ、あの男は小賢しく立ち回り、最後は相応の末路を辿った、私と同じく敗者だ。

世間一般では悪人となるだろう。恨みは幾らでも買っているだろうが、さて。

演奏の礼に、彼をスヴァログ迄送ってやることにした。

尤も、他国住まいが長かったなら彼の国の流儀は少々手荒いだろうが、何、砂漠を踏破せんとする気概があるなら問題あるまい。

それにしても、アンゼか。ーーいいや、君の名は、■■■■だろう?

葛籠有栖、等と名乗った私が言えた義理ではないだろうがね。

また会おうじゃあないか。アンゼと名乗った君。

虚白の地を目指すなら、我々は否応無しに巡り会う。


黒の国/幻楼の砂漠/アンゼ様とエンカウント
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By 絹豆腐
2019-01-03 05:35:22
○月×日。白のアリスと、邪智のチェシャ。

ーーーー

白、白、真白。

一面漂白されたかのように、何も無い白い空間。

白い闇、或いは白いだけの空間、伽藍の堂。即ち虚白。

ヒトに知覚出来る領域ではなく、ヒトが居合わせる事が赦されるべきでは無い、有りながらにして無き場所。

故に、かちゃり、と金属音が鳴る音がする事のどうしようもない不自然さが際立った。

何も存在しない、誰も存在出来ない。

ならば、そこに音を発する何者かが居る筈がない。

であれば、きっと此処にいるのはーー

「ーー君らしい悪趣味で悪辣な劇だったようだな、チェシャ。」

白い少女が、居た。

白い空間に、白いテーブルの前に、白い椅子に腰掛けて、白いポットより紅い紅茶が注がれたカップを手にして。

白い少女は、けれども少女と呼んでよいものか。

その声に幼さは微塵も感じられない。

完成された精神性。半端な知性如きでは対峙し見据えられるだけで萎縮し言葉を発する事もともすれば許されなくなる程の、暴力的な迄の知性。

未熟さは何処にもなく、可憐な外見に反してその中身は老練なるそれでしかなく、この虚白の間において支配者のそれを思わせる強大な存在感を持ち合わせていた。

ヒトの型をした少女。決して異形ではない。
だが、もし此処に彼の惨劇の舞台の末期に現れた異形の哀れなる子羊や、虚白の地の白き怪異を並べたとしてもそんな異形らが可愛らしく思える程に、その存在そのものがこの世のそれらと内面的な意味合いでどうしようもない程に異形であると観測する者がいれば理解出来たであろう。

理解の及ばぬ、理解してはならぬ内面。
この真白き空間は、そんな少女の心を表すような場所であった。

「ええ、それはもう。いやはや、ついつい興が乗り過ぎて主催者であるとバレかけたり、うっかり羊に殺されたりもしてしまいましたがまあ、有能過ぎる旅人方のお陰で無事に終える事が出来ました。にゃ。」

そんな場所に、もう一つ声が響いた。
テーブルの向かい側に座る、真っ黒な闇。

否、闇ではない。それは黒い、猫であった。

けれどもそんなものは全部偽りだ。

黒も、猫も、商人という肩書きも、あの舞台で語った雑貨屋のザックという男と素性、当然木こりのアークスとの関連性等話したのも全て嘘。

嘘を暴き立て中を除けば、そこにあるのは悪意だ。

悪意そのもの、純粋なる悪徳。
コレは、そういう存在だ。そういう存在に、成り果てた。

猫舌と言う設定にしているのか、ふう、ふうと紅茶に息を吹きかけ冷ましておちゃらけてみせるチェシャと呼ばれた大柄な猫男は上機嫌にごろごろと喉を鳴らす。

不快な音だ。

猫の鳴き声は、ヒトが猫の鳴き真似をする演技臭さを隠しもしない作ったもの。

喉を鳴らす音は、猫の皮の下に蠢く悪意の食指が歓喜に震えるかの如く皮を下から虫の節足のような引っ掻き、毟り、臓腑や血肉を掻き分け骨が軋む音がたまたまごろごろと猫の喉を鳴らすそれに近く聞こえているだけに過ぎない。

「この物語の事の発端は、銀の国の寒村で一昔前に起きた猟奇殺人事件。大人の手助けを得られず、成る可くして殺人鬼と成った獣達の嘘。ーーむかしむかし、あるところに二人の仲の良い兄妹がいました。兄妹は貧しくても、寒くても、飢えても、互いに分け合い、寄り添い、力を合わせて生きていました。妹は、優しい兄が大好きでした。村の皆も、大好きでした。しかし兄は妹と、最近付き合い出した羊飼いの女の子は大切でしたが、村の皆は嫌いでした。妹は覚えていなくても、兄は父と母が病に伏せて困っている時に、村の皆が助けるどころか病を感染されてはたまらないと寄り付く事すら忌避し、見殺しにしたのを知っていたからです。それでも純粋で幼い妹には伝えず生きてきた。けれどそれも長くは続かなかった。ーー兄妹は、獣でした。獣人はこの世界において珍しくない。しかし人として産まれたのに、後天的に獣へと変わり果てた。まるで病に冒されたかのように。先祖返りと呼ばれるものだと兄は後に知りました。そして、妹に流れる血は何の因果か兄よりも遥かに濃く、本人にも制御できないものでした。初めは兄が何とか押さえ付ける事が出来る程度でしたが、日を追う事に強まる力に兄は困り果てていました。そんな発作にも似た症状も落ち着いてきたある日、羊飼いの娘と日が昇りきらぬ早朝に牧場で逢瀬の約束に兄は眠る妹を置いて出ていってしまいました。その時、妹は起きて寝坊助の兄に代わって朝御飯を作ってあげようと早く起きていたとは知らず。妹は、兄が何処に行くのかこっそりあとを尾行することにしました。けれども霧の濃い早朝、大人に近い兄と違いまだ子供の妹は追いつけず見失い、村の広場で完全にはぐれてしまいました。ちょうどその時、羊飼いの娘の父親がたまたま昨夜の酒の抜け切らぬ内から目覚め、娘がいないと気付き探していたのか、それとも飲んでいた場所であった広場に何か落としたのを探しに来たのか広場へ現れて鉢合わせしてしまいました。酔っていなければ、口を滑らせる事もなかったのでしょう。挨拶だけして別れていれば良かったのに、羊飼いはうっかり言ってしまいました。恐らくは、親が居ない子供を侮蔑する類の言葉か、親や兄への中傷。妹は驚き、悲しみ、吼えた。逢瀬を済ませて広場を通り、自宅のある丘へ帰ろうとした兄はそこで血塗れで呆然としている妹と、無残に殺害された羊飼いの死体を発見してしまいました。そして悟りました、嗚呼、なんで自分は妹を置いて行ったのかと。己の愚かさを悔やみながら、獣から人へ戻り何が起きているのか分からず混乱している妹と急いで人目につかぬよう家へ帰り、兄は嘘をつきました。お前が殺したのではない、あれは悪い狼がやったことだと。そして、発作が夜に起きやすいとも知っていた為、夜には外出してはいけない、夜に寝ていないと悪い狼がやってくると忠告しました。妹を守るため、妹に罪を重ねて欲しくない為。けれども村の大人を騙せる嘘ではありません。明らかに人間業ではない死体に最初こそ外から魔物が入ってきたのではないかと、そう言う風に兄も誘導してきたけれど些細な嘘は綻びが出て、そして外出が減った妹に対しても訝しむ声が増えていきました。ある日、外からやってきた吟遊詩人があの早朝に実は事件を目撃していたと話し掛けてきました。吟遊詩人は外の人間だからどうでもいいけど、黙っておいてあげるから路銀ぐらい欲しいと兄をゆすったのです。兄は、妹をどうしても守りたかった。お金を何度やっても吟遊詩人は脅しを繰り返してきましたが、もうお金もありません。兄は、吟遊詩人を殺しました。これがきっかけで、兄の中の獣が囁いたのかもしれません。妹を守る為には、真実を知る者、知ろうとする者は殺すしかないと。兄は妹を守る為、一人一人村の皆を殺していきました。もう二度とこの事件に関わりたくないと思わせる為、なるべく残酷に、なるべく残虐に、なるべく恐怖させようと。子供の浅知恵です。当然、大人は聖騎士の派遣を要請しました。そして、元より少ない人口の村です。村人が減れば自然と犯人も限られ、とうとう連続殺人鬼が兄だとバレてしまいました。自分が殺される分には構わないと兄は思いましたが、大人達は妹にもまだ最初の殺人だけは本当に妹がやったものだと気付いていないのに、殺人鬼の兄の妹だから、親がいない子供だからと殺そうとしました。その中には、彼女であった羊飼いの娘もいました。兄は止めようとして、殺されかけて、そして追い詰められた妹はまた、獣となってしまいました。気付けばもう、兄と妹だけしか生き残りはいませんでした。皆みんな、死んでしまいました。殺してしまいました。妹は意識を失っていますが、体も、妹を守る為に殺人を続け後戻りが出来なくなった末に彼女さえ喪った兄は、もう限界でした。聖騎士が辿り着いた時に、兄は言いました。この事件の真相を。その上で頼みました。全ての罪は自分にある。だから、自分の命はどうなってもいい。だけど妹だけは助けて欲しい、このどうしようもない病気のような獣となってしまう妹を治して、本来の優しい女の子として生かしてあげて欲しいと。都合のいい話だと兄は分かったうえで、兄は喉を掻き切って自殺しました。妹もまた、結局は保護された後に精神を病んで、誰もいない村に戻り兄の後を追うように自殺しました。今も、兄妹の魂はあの廃村に残っているのでしょうか?ーー最後まで真実を知らなかった妹には、未練が残った。」

「ええ、ですので、哀れに思った吾輩が手を差し伸べてあげたのです。『貴方達兄妹と村人が救われる、真相に辿り着いて過去の過ちを正せるかもしれないように』と。彼女の未練、妄念を根幹にあとはちょちょいのちょい、と。幸い役者はハロウィンにて白夢の存在が認知され、認識が補強されたお陰で、招くのも容易でしたもので。まあ、あくまでハッピーエンドは可能性でしたし、結局は失敗に終わった訳ですが……いやはや、残念ザンネン。吾輩、お涙頂戴劇のあまり、抱腹絶倒で悶え死ぬところでした。」

白き少女は心にも無い言葉を宣う邪悪なる猫から視線を逸らし、テーブルの隅に追いやられた残骸を横目に見遣る。

白い村のミニチュア。
そこには砕けた羊の駒と狼の駒、傍には真っ黒な雑貨屋の駒。
逃げ惑うように割れて砕けたミニチュアの舞台から転げ落ちる羊飼いの娘、宿屋の女将、吟遊詩人、そして軍装の旅人、コック帽の旅人、筋骨隆々な眩しい旅人、雅なる青の帝の旅人、美麗なる銀の教皇の旅人、臆病にして勇敢な兎の旅人、修道女の旅人、武将の子供の旅人の駒が転げ落ちていた。

「残念、か。私にはお前がもう舞台に飽きたから、滅茶苦茶にしようとしたようにしか見えなかったがね。教えたのだろう?羊の皮を被った狼が畏れる唄を。舞台の根幹たる少女の願いを否定し、残酷な真実の片鱗だけを思い出させるそれを。」

「はて。あの舞台の役者はそうそうたる面々でしたもので。吾輩がお節介を焼かずとも自力で何とかしたのではないかと。吾輩好みの救いの無い、願いも努力も一切合切水の泡に帰す愉快な終わり方は個人的にはハッピーエンドだったので、彼にはMVPを差し上げたい気分ではございますが。にゃっにゃっにゃ。」

「悪趣味だな。清々しい程に。その悪辣さは、黄金の魔導王と似ている。尤も、彼女は巡り巡って彼女と兄への偏愛に行き着くが、君の場合はただただヒトの悪意の証明と肯定であるという点では非なるものだがね。……さて、物語は閑話休題に差し掛かる。聖夜、そして新たなる年を迎える備え。彼等に労いとして、宴の席でも用意してやるとしよう。チェシャ、年末年始ぐらいは大人しくしておきたまえよ。」

白い少女は紅茶を飲み終えれば、すう、と虚白に溶けるように消えた。

あれだけの存在感を放っておきながら、最初からいなかったのかのように。

残された黒猫は、冷めきった紅茶をぐびりと飲み干した。

「ははは、いやいや、白のアリスからのお咎めならば甘んじて大人しくしておきましょう。……ですが、宴、ねえ。貴方こそ、吾輩のような愛らしい猫などより余程恐ろしいモノだ。だってそうでしょう?吾輩は猫の悪戯程度ですが貴方のそれはそんなものではない。いつだって、全て掌の上。今回の宴も、どうせ何か意図あっての事でしょうに。……にゃあ。」

猫の鳴き声が最後に響き、白いお茶会の席には誰もいなくなった。

お茶会の席と、空のカップと、壊れたミニチュアだけを遺して。

それらもやがて、溶けて消えた。


ーーーー

白霧の村の殺人事件、後日談。改めてイベント参加者様の皆様に多大なる感謝を。
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By 絹豆腐
2019-01-17 14:29:02
1月1日
<著者:七星咲耶>

頭が痛い。二日酔いなんぞ随分久しぶりだ。

おみくじガチャ。大吉レアの確率操作に対する詫び石。屋台の爆発。トリプルアクセル。白玉猪。蕎麦大盛。等身大鏡餅。

うむ、悪夢のような愉快さ、荒唐無稽な一時であった。

あの蕎麦、じゃなくて餅、でもなくて雪白とかいう小僧は大通りに置いてきたが家を知らぬ故仕方ない。

護国団がどうにかしてくれるであろう。黄龍は別荘にいなかったから仕方ないにしても、シジマの奴も誘ってやれば良かったなぁ、羽目を外す良い機会であったろうに。

今度皆を招集して飲み明かすとするか。

それにしてもなんだ。あの蕎麦、ぶちぶちとか音が聞こえたり、白い髪の毛が入っておったが気のせいであろうか?

――なあ。『   』。其方、残念の供養をさせたかったのか?


パーティ会場。新年会会場にて雪白・七彌・オーウェン様とエンカ。

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