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「らぶとすずは、スープ飲める?」
「うん! スープ飲める!」
「ありがとうございます夏希様、すごく美味しそうですっ」
「少なくてごめんねー、おかずの余りがそんなになくてさ」
 先にテーブルについて頂きますしながら、そんな三人の会話を聞く。うちの朝もだいぶ賑やかになったもんだ。
「どうしたの兄ちゃん?」
「いや、賑やかになったなーと」
「あはは、確かに。うちには両親がいないけど、兄ちゃんとらぶたちが居るから寂しくないね」
 そう言うことだ。俺の言いたかったことを弟が代弁してくれたみたいだった。すずを見たら目が合って、嬉しそうに笑った。

   ◆ ◆ ◆

「春馬、犬と猫拾ったんだって?」
「誰情報でそんな早く知ってンだ藤原……」
 校門につくなりクラスメイトの藤原が絡んできた。コイツとは小学校からの腐れ縁で、親友と言うより悪友に近い。
「夏希がメールくれたけど」
「アイツ余計なことを」
「なーなー、見せてくれよ。俺が大の動物好きなの知ってるだろ」
「動物じゃなくて獣耳だろお前は。余計会わせられるかバカ」
「なんで」
「……それは」
 しまった失言だった。こうなると藤原は引くことを知らない。俺は取りあえず場所を移して校舎裏で事情を説明した。
「マジすか」
「マジです。何なら来るか」
「いいんすか!」
「テンションを下げろ気持ち悪い」
 獣耳生やした少年が二人もいるとなると、コイツだけは黙ってないだろうと思ってはいた。
「ただしイタズラすんなよ。苛めるのもなし」
「随分優しいんだな。なになに、そんなに可愛いんか?」
「……そんなんじゃねぇよ」

   ◆ ◆ ◆

「そんなわけあるだろ!!」
 放課後、さっそくうちに押し掛けた藤原が二匹を見るやいなや、意味不明なことを叫んだ。
「あ、あの……?」
「な、なんだなんだっ?」
「うっせーぞ藤原! ビビってんじゃねーか!」
 おどおどする二匹を変態(藤原)から遠ざけて、取りあえず一発殴る。コイツを現実世界に呼び戻すいつもの方法だ。
「ハッ! ……悪いな、少しびっくりして」
「こっちの台詞だっつの、このバカ」
 藤原がかがんで二匹に視線を合わせた。それから優しく笑って、手招きする。
「初めまして、藤原って言います。春馬のダチだから安心して良いよ」



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