2 「らぶとすずは、スープ飲める?」 「うん! スープ飲める!」 「ありがとうございます夏希様、すごく美味しそうですっ」 「少なくてごめんねー、おかずの余りがそんなになくてさ」 先にテーブルについて頂きますしながら、そんな三人の会話を聞く。うちの朝もだいぶ賑やかになったもんだ。 「どうしたの兄ちゃん?」 「いや、賑やかになったなーと」 「あはは、確かに。うちには両親がいないけど、兄ちゃんとらぶたちが居るから寂しくないね」 そう言うことだ。俺の言いたかったことを弟が代弁してくれたみたいだった。すずを見たら目が合って、嬉しそうに笑った。 ◆ ◆ ◆ 「春馬、犬と猫拾ったんだって?」 「誰情報でそんな早く知ってンだ藤原……」 校門につくなりクラスメイトの藤原が絡んできた。コイツとは小学校からの腐れ縁で、親友と言うより悪友に近い。 「夏希がメールくれたけど」 「アイツ余計なことを」 「なーなー、見せてくれよ。俺が大の動物好きなの知ってるだろ」 「動物じゃなくて獣耳だろお前は。余計会わせられるかバカ」 「なんで」 「……それは」 しまった失言だった。こうなると藤原は引くことを知らない。俺は取りあえず場所を移して校舎裏で事情を説明した。 「マジすか」 「マジです。何なら来るか」 「いいんすか!」 「テンションを下げろ気持ち悪い」 獣耳生やした少年が二人もいるとなると、コイツだけは黙ってないだろうと思ってはいた。 「ただしイタズラすんなよ。苛めるのもなし」 「随分優しいんだな。なになに、そんなに可愛いんか?」 「……そんなんじゃねぇよ」 ◆ ◆ ◆ 「そんなわけあるだろ!!」 放課後、さっそくうちに押し掛けた藤原が二匹を見るやいなや、意味不明なことを叫んだ。 「あ、あの……?」 「な、なんだなんだっ?」 「うっせーぞ藤原! ビビってんじゃねーか!」 おどおどする二匹を変態(藤原)から遠ざけて、取りあえず一発殴る。コイツを現実世界に呼び戻すいつもの方法だ。 「ハッ! ……悪いな、少しびっくりして」 「こっちの台詞だっつの、このバカ」 藤原がかがんで二匹に視線を合わせた。それから優しく笑って、手招きする。 「初めまして、藤原って言います。春馬のダチだから安心して良いよ」 ←→ |