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やはり、最初に聞いていた場所にはいなかった。
辺りを見渡しても、それらしき車も無い。
周りの人に聞いてみるが、有力な情報は得られなかった。
「あの子はよく移動するからねぇ、見つけられたら奇跡だよ」…などなど。
しかし、とあるオバサンに聞くと。
「公園の辺りは探したかね?
よく子供の中にいたりするから、そういう場所を探してみた方がいい」
洞察力のありそうなオバサンの言葉を信じ、手当たり次第にその町の公園を探してみる。
幾つ目かの公園は、その中でも大きい方だと思う。
噴水が間隔を開けて何箇所もあり、周りを囲んでいる森は鬱蒼と生い茂っている。
1周するのでさえ一苦労だ。
ようやく反対側の門から外に出ると、一台の馬車が止まっているのが見えた。
貨物用の馬車の前では、1人の女性が接客をしている。
注文を取ると荷台の中で調理を始めた。
出来上がった物を客が買い、去っていく。
足が勝手に動きだし、女の元へと歩き出す。
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