5 やはり、最初に聞いていた場所にはいなかった。 辺りを見渡しても、それらしき車も無い。 周りの人に聞いてみるが、有力な情報は得られなかった。 「あの子はよく移動するからねぇ、見つけられたら奇跡だよ」…などなど。 しかし、とあるオバサンに聞くと。 「公園の辺りは探したかね? よく子供の中にいたりするから、そういう場所を探してみた方がいい」 洞察力のありそうなオバサンの言葉を信じ、手当たり次第にその町の公園を探してみる。 幾つ目かの公園は、その中でも大きい方だと思う。 噴水が間隔を開けて何箇所もあり、周りを囲んでいる森は鬱蒼と生い茂っている。 1周するのでさえ一苦労だ。 ようやく反対側の門から外に出ると、一台の馬車が止まっているのが見えた。 貨物用の馬車の前では、1人の女性が接客をしている。 注文を取ると荷台の中で調理を始めた。 出来上がった物を客が買い、去っていく。 足が勝手に動きだし、女の元へと歩き出す。 . [*前へ][次へ#] |