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Silver Chain




『高杉?どこか、痛むの?』


元々、口数が少ないが、
今日に限って、あたしに意地悪なことを言わない。


やはり、戦闘となると、高杉でも緊張するのかと思って、あたしからも話し掛けは、しなかった。


でも、高杉の異変に気が付いた。


顔を歪め、脂汗をかいている。


「…なんでもねぇ。それより、見張りのヤツから連絡はねぇのか?」


『うん。まだ…』


何でもなくない。


『ちょっと、高杉…』


高杉の額に手を当てると
かなり熱い。


『…熱があるじゃない。』


「大丈夫だ。」


そう言って、あたしの手を払った高杉が、また顔を歪めた。


『高杉…熱が出てるだけじゃないでしょ。ちょっと見せて!』


嫌がる高杉に、無理矢理近き、脇腹に手を当てた。


『ここって…』


高杉の服を捲くり上げ、脇腹を見た。


この前の傷が化膿して
酷い状態になっていた。


『こんなに酷くなるまで…。何で、言ってくれなかったの?!黴菌が入って化膿してるじゃない!…それで、熱が出てるんだね…』


…あたしも、傷の事、忘れてた…

あたしが、ちゃんと傷の手当をしてあげなきゃ
いけなかったのに…


『ごめん、高杉。後の処置してなかった。
あたしが、ちゃんと消毒してあげなきゃ、いけなかったよね。
気付かなくて、ごめん…』


「ちっ、なんで花音が謝んだよ。てめぇの体ぐらい、てめぇで何とかすらぁ。それより、おいっ、止めろっ!!」


あたしが、医療忍術で治療をしようとすると、
体を突き飛ばされた。


「わっ、わりぃ…大丈夫か?」


『…大丈夫』


あたしは、驚いて座り込んだまま、動けなかった


「…銀時から聞いたんだよ。花音の忍術のこと…チャクラが、どうのとかよ…」


『そ…なんだ…。でも、これぐらいの忍術なら、大丈夫だよ。大技さえ
使わなきゃ、どうってことない。
だから、見せて。』


「…」


高杉は、黙ったまま頷いてはくれなかった。


『もぉっ!そんな体じゃ
まともに闘えないでしょ!あたしだって、高杉に気を取られて、まともに闘えないよっ!
高杉と一緒に、あの世逝きなんて、ごめんだからねっ!』


「…わかったよ…。そのかわり、花音こそ、無理すんじゃねぇぞ。」


高杉は、素直に脇腹の傷を見せた。


あたしは、手を当て、化膿してる部分だけは、何とか治すことが出来た。


だけど、傷が完治した訳じゃない。


『まだ、痛むでしょ?熱も、すぐには、下がらないよ。今日は、寺に戻りなよ。』


「何、言ってやがる!
出来ねぇ相談だな。」


…そう言うとは思ってたけどね――


『じゃあ、絶対に無茶しないでねっ!
あたし、強いんだから!あたしに頼って!ねっ、わかった?』


高杉に向かって、こんなに強気なこと言っている自分に驚いたが、
高杉も、目を丸くして驚いていた。


「…あぁ。」


高杉は、圧倒されて、
しぶしぶ返事をした。


「高杉さん!天人共が、攻めて来ました!」


見張りの仲間が、走って来た。





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