Silver Chain 4 『高杉?どこか、痛むの?』 元々、口数が少ないが、 今日に限って、あたしに意地悪なことを言わない。 やはり、戦闘となると、高杉でも緊張するのかと思って、あたしからも話し掛けは、しなかった。 でも、高杉の異変に気が付いた。 顔を歪め、脂汗をかいている。 「…なんでもねぇ。それより、見張りのヤツから連絡はねぇのか?」 『うん。まだ…』 何でもなくない。 『ちょっと、高杉…』 高杉の額に手を当てると かなり熱い。 『…熱があるじゃない。』 「大丈夫だ。」 そう言って、あたしの手を払った高杉が、また顔を歪めた。 『高杉…熱が出てるだけじゃないでしょ。ちょっと見せて!』 嫌がる高杉に、無理矢理近き、脇腹に手を当てた。 『ここって…』 高杉の服を捲くり上げ、脇腹を見た。 この前の傷が化膿して 酷い状態になっていた。 『こんなに酷くなるまで…。何で、言ってくれなかったの?!黴菌が入って化膿してるじゃない!…それで、熱が出てるんだね…』 …あたしも、傷の事、忘れてた… あたしが、ちゃんと傷の手当をしてあげなきゃ いけなかったのに… 『ごめん、高杉。後の処置してなかった。 あたしが、ちゃんと消毒してあげなきゃ、いけなかったよね。 気付かなくて、ごめん…』 「ちっ、なんで花音が謝んだよ。てめぇの体ぐらい、てめぇで何とかすらぁ。それより、おいっ、止めろっ!!」 あたしが、医療忍術で治療をしようとすると、 体を突き飛ばされた。 「わっ、わりぃ…大丈夫か?」 『…大丈夫』 あたしは、驚いて座り込んだまま、動けなかった 「…銀時から聞いたんだよ。花音の忍術のこと…チャクラが、どうのとかよ…」 『そ…なんだ…。でも、これぐらいの忍術なら、大丈夫だよ。大技さえ 使わなきゃ、どうってことない。 だから、見せて。』 「…」 高杉は、黙ったまま頷いてはくれなかった。 『もぉっ!そんな体じゃ まともに闘えないでしょ!あたしだって、高杉に気を取られて、まともに闘えないよっ! 高杉と一緒に、あの世逝きなんて、ごめんだからねっ!』 「…わかったよ…。そのかわり、花音こそ、無理すんじゃねぇぞ。」 高杉は、素直に脇腹の傷を見せた。 あたしは、手を当て、化膿してる部分だけは、何とか治すことが出来た。 だけど、傷が完治した訳じゃない。 『まだ、痛むでしょ?熱も、すぐには、下がらないよ。今日は、寺に戻りなよ。』 「何、言ってやがる! 出来ねぇ相談だな。」 …そう言うとは思ってたけどね―― 『じゃあ、絶対に無茶しないでねっ! あたし、強いんだから!あたしに頼って!ねっ、わかった?』 高杉に向かって、こんなに強気なこと言っている自分に驚いたが、 高杉も、目を丸くして驚いていた。 「…あぁ。」 高杉は、圧倒されて、 しぶしぶ返事をした。 「高杉さん!天人共が、攻めて来ました!」 見張りの仲間が、走って来た。 [*前へ][次へ#] [戻る] |