小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結
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「…!」
「うわああぁぁー、ごめんなさいっ!」
紫陽が主夜の指をそっとつかんだ。
ふわっと温かい気が手に流れる。
主夜の指の傷が消えるのと同時に、紫陽の指に同じ形の傷が現れ、すぐに消える。
「大丈夫か?」
主夜が紫陽の顔をのぞき込んだ。
「?」
「具合が悪くならないか?」
陰陽の術者を癒した後の紫陽が倒れたことは、記憶に新しい。
「ああ、あの時は、僕が思っていたよりずっと深い傷だったので、具合が悪くなってしまったんです。いつもは、何でもないんです」
「だが、お前も痛いだろう」
主夜が紫陽の手をつかみ、消えてしまった傷をいたわるように口に含もうとすると、
パシッ!
恐ろしい速さでウサギが跳んできて、主夜の手を小さな足で払いのけ、また紫陽の頭に戻る。
主夜はムッとしてウサギを睨みつけた。
ウサギも負けずに、オニキスの瞳で主夜を見返す。
「あああ〜…。ぷーちゃん、やめてください〜」
紫陽が情けない声を出す。
紫陽の話を要約すると、
昨夜、紫陽の胸からポンと出てきたウサギは、まったく紫陽の言うことを聞かず、ウサギと呼ぶと怒って暴れ出したのだそうだ。
何度頼んでも紫陽の胸に戻ることはせず、昨夜は紫陽の布団の中で一緒に眠ったのだという。
「とても暖かかったです」
紫陽は楽しそうに笑った。
プープーと鳴くので、ためしにぷーちゃんと呼ぶと、ウサギは嬉しそうにしたのだそうだ。
今朝、目を覚ますとやはりウサギは隣に寝ていた。
それどころか、紫陽の頭の上に乗ったまま、どこへでもついてくるという。
「僕は、朝にシャワーを浴びるんですけど…」
そこへもついてきて、一緒にシャワーを浴び、おまけにドライヤーで毛を乾かせと、どうやってだか知らないが要求したそうだ。
主夜は思わずウサギを睨みつけた。
俺はまだ紫陽とシャワーを浴びたことがないのに、なぜお前が…。
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