Aルート
薫の足はいつの間にか、
渋谷家に向かっていた。
美子や勝利、有利に無性に会いたくなった。
話せば相談に乗ってくれるかもしれない、
心が楽になるかもしれない、
そんな淡い期待があったからだろうか。
ちょっと緊張しながらも、インターホンを押す。
友人の家を訪ねるなどいつぶりだろうか。
幸村の用事で他人の家を訪ねることはあったが、
何故かそれより緊張した。
「はいは〜い。
あら!薫ちゃん!?」
扉を開けて現れたのは美子だった。
フリフリのエプロンをつけている。
薫も一応、昨日買いたての服を着てきた。
「可愛い〜!
私の見立ては間違ってなかったわね!」
そうして美子は、締め付けさんばかりに薫を抱き締めた。
「美子さん、苦しい…。」
「あら、ごめんなさい。
とりあえず入って。
何か用事が?」
「ええと、まぁ。」
「ぁ、今はしょーちゃんとゆーちゃんいないのよ。
どうする?」
無料HPエムペ!