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4.言葉

出会った時にはすでにお互いずぶ濡れだった。

お茶を出す前に風呂だな…と思い湯船の準備をする。
彼は、タオルで濡れた体を拭くのもそこそこに俺の部屋を興味深げに見渡していた。


「狭苦しい所ですみません」
「…いや、そんな事あらへんよ。いい部屋や」


この時、初めて彼の声を聞いた。
もしかしたら声がでないのかとも思ったが、どうやら俺の杞憂だったようだ。


「…喋れるんですね」
「あぁ、そういえばお礼もいっとらんかったなぁ」


ありがとうという彼の言葉は聞き慣れないイントネーションで、やはりこの世界の人じゃないのだと示していた。


今ならまだ間に合う。と警告が鳴る。
しかし、俺はそっと耳に蓋をした。


060418


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