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よみもの~中等部編
7 ~canon

ファンの女の子達にかこまれたはずえクンに苦笑しながら、私と由香ちゃんは教室に向かう

「由香ちゃんは桃城君には?」

「うん、ま、放課後...ね、アンタもでしょ?」

「うん」

どうしようかな、桃城君にもチョコレート、あるんだけど。。。
由香ちゃんに渡してもらおうかな
もしかしたら、自分で渡す機会がないかもしれないし。。。

「由香ちゃん...あの、ね」
「お!ユカちゃんとカノンちゃん!!」

うわぁ、speak of the devil
桃城君、キミは長生きするよきっと。。。
手にはたくさんのチョコレートやプレゼント
やっぱり人気者だもんねぇ。。。

それにしても、由香ちゃんも桃城君もホントに遠慮もなくボンボン言いあってる
戯れついてるのとも違うしサバサバを通り越して、ケンカじゃないけど。。。
って、二人の会話を聞いてたら、だんだん、ケンカ腰になってきた
うわわぁあぁ。。。ついに、睨み合いがはじまってしまったぁ。。。

ここは。。。えぇと、ナントカする?私??

「あの、桃城君?」

「ん?なんだい、カノンちゃん?」

桃城君はくるっと振り向いて、アーモンドの目をくりくりさせる

「あの...よかったら、これ...いつも良くしてもらってる、から...」

バッグからチョコを取り出すと、くりくりの目がもっと大きくなった

「マジか?いいのか?」
「うん」

由香ちゃんは私の腕に巻き付きながら、ふふん、と鼻で笑う

「よかったじゃん?
 それきっと、カノンのお父さんがベルギーから買ってきた高級チョコだよ?
 カノン家って食い道楽だからね」
「そうなのか?」

くりくりの目がこんどはキラキラ。。。
ココ迄喜んでもらえると思ってなかったら、そのテンションにちょっと、圧倒されてしまう

「あ、うん...でも、そんな高級ってわけじゃ...」

「へぇ〜、楽しみだな?な?
 おい!海堂、見ろよコレ!カノンちゃんにもらったんだぜ?」

階段の下には海堂君
桃城君に負けないくらい、また大きな紙袋に、沢山のチョコ。。。

「おはよ、今年も沢山貰ったね〜」

由香ちゃんがからかうと、海堂君はそんなんじゃねぇ、と、口をむぅっと尖らせる

「おはよう、海堂君」
「おぅ」

私に少しだけくれる目線
そのやさしさにホッとする


「そんじゃ私達は先に行くとしますか?自称カレシ?」
「おぅ!じゃ、海堂、あとでな?カノンちゃんありがとな?」

「あ、うん」

由香ちゃんと桃城君は。。。
由香ちゃんのパンチを桃城君が躱しながら。。。あーー。。。なんか男の子同士が戯れあってるみたいな雰囲気で、先に階段を登っていった

その二人を見送っている間にも、沢山の生徒に注目される
海堂君はフン、と鼻をならし、行くぞ、と、私の背中をポンッと叩いた

「放課後、だろ?」

ちょっとムスっとした『いつもの海堂薫』の顔と声
でも、怒ってるんじゃないし、機嫌が悪いわけでもない

「うん」

だって、ね。。。
学校で必要以上に優しい所なんかをみせると、私がまた傷つくような事を言われるって、
そう考えてしまう人だから、素っ気ない態度をとってるだけ

「練習、終わったらメールする」

でもね、ほんとうにやさしいの

「海堂君?」

そんな海堂君が好きだから
海堂君においていかれたくない

「なんだよ?」

「沢山貰ったね?」

またフン、って、ちょっと意地悪げで自信満々な顔

「ヤキモチやかねぇのかよ?」

「妬いて欲しい?」

「別に」

「素直じゃないな、海堂君は」

「どっちがだ」

海堂君はゆっくりと歩いてくれる
私が海堂君と並んで歩けるペースで

今は、海堂君が歩調をあわせてくれているだけ
それにずっと甘えてるわけにはいかない

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