[携帯モード] [URL送信]

よみもの~中等部編
8 ~canon

放課後、私は第二音楽室へレッスンを受けにいく
瑞希ちゃんは今日はレッスンじゃないけど、いつものように、私と優先輩のレッスンの見学
そして、優先輩にチョコを渡すんだ、ってほくほくしてる
先生は、どうせなら、って、ケーキを囲んでお茶会しましょうか?って。。。
毎年のことだけど、本当にほのぼのしてるな

私のレッスンが終わる頃、優先輩はやっと到着
優先輩は、高等部でもやっぱり人気があるみたい
紙袋に詰まったチョコの数をみれば、ソレは一目瞭然
ああ、そう3年の谷岡先輩は、10月の推薦入試で○音大に合格を決められたそう
やっぱり流石だなって思うのは、そこで、特待生に選ばれたんだって

私のレッスンが終わると、早速バレンタインお茶会

「瑞希ちゃんは他にチョコレートあげた人いるの?」

先生が紅茶を入れながら、瑞希ちゃんにたずねた

「いませんっ!いませんよっ!!」
「慌ててる〜、あやしいな〜〜」

からかう優先輩に、そんなことないです!って、ムキになってる瑞希ちゃん
うん、あやしい

「奏音ちゃんは?」

先生は、ふふっと笑って、私にフッてきた

「不二先輩にあげたいんですけどねぇ。。。
 高等部にまで渡しに行くのはちょっと、ま、来年頑張ります」

「早く言ってくれれば、渡してあげたのに?」

優先輩は、お皿に載ったケーキを早速フォークでつつきだす

「それじゃ意味ないです!自分で渡すからいいんですよ」
「おっと、強気だね?」

先生がくすくす笑いながら、お茶をテーブル。。。じゃなくて、机においた

それからは、ケーキを食べつつ、紅茶をのみつつ
わいわいと、雑談が始まる

「ふじせんぱい、って?」
「テニス部の伝説の先輩」
「不二、伝説なのか?」

へー、伝説ねぇ、ふーん、と優先輩はスゴくオモシロそうに笑ってる
だから私も調子に乗って。。。

「そりゃあもう!私の中では伝説の人ですよ?
 テニスは上手いし、美形、って言葉がぴったりじゃないですか?
 あ、そうだ、不二先輩と優先輩が並んでると、キラキラしてて目がくらむくらい、ステキなのよ?」
「そうなんですか?」
「奏音ちゃん、それ、俺の前で言う事?」

へぇ〜って、瑞希ちゃんは感心して、みてみたいなー、なんて言ってる
優先輩は、呆れてモノも言えない、という表情で、2切れ目のケーキをフォークでぐさ!と刺した

「優先輩、テレてます?」
「そんなんじゃないよ」
「でも、不二君の人気はすごかったものね?高等部でもそうなのかしら?」

先生は紅茶にふ〜っと、息を吹きかけて、笑顔を優先輩に向けた

「そうですよ、先生
 持ち上がりの生徒はもちろん、外部から入ってきた女子にも人気ありますよ、不二に限らずあの年のテニス部連中は」

先生もそうよね〜、って笑う

「そうそう、ここからテニスコート眺めてて、
 奏音ちゃん、いつも、不二先輩かっこいー、って騒いでたもんね?」

私は気恥ずかしくて。。。
でも、優先輩がふぃっと窓の外へと視線を投げたのをきっかけに、みんなで、テニスコートを眺めはじめた

一番に目についたのは、アノ大きなグループ
あ、はずえクンのファンの子達?

「葉末君、モテてるね?」

優先輩は直ぐに気付いたみたい

「なんなんでしょうね〜?
 はずえクンってハンサム度が高いですよね?」

さっきから大人しい瑞希ちゃんの顔をみてみると。。。おや、顔があかい

「あれ?瑞希ちゃん葉末君のファンだったりする?」
「ちっ!ちがいますっ!!」

からかう優先輩に瑞希ちゃんは必死
ナルホド〜、瑞希ちゃんは密かにはずえクンのファンなんだ

あ、そういえば、クリスマスのミニコンサートの時、
お昼の部に来てくれたはずえクンに何か話しかけられてたけど、真っ赤になってたもんねぇ。。。
私、瑞希ちゃんが緊張してて、上手くおしゃべりできないんだとばかり思ってた
なるほど、なるほど。。。って、私、気付くの遅すぎる

「さ、そろそろお茶会はお開きにして、優君、レッスンはじめましょうか?」

先生の合図で、みんなでお片付け
優先輩はバッグから楽譜を取り出し、瑞希ちゃんも見学用に用意した楽譜をてにとる
私はケイタイをチェックすると、由香ちゃんから、図書室にいるってメッセージが残ってた
それを目敏く見つけた優先輩は、ニヤ、っと笑い、小さな声で、海堂?と言う

「ちがいます、由香ちゃんです」

なーんだ、そっか、とそれだけ言うと、優先輩はすぐにレッスンの時の真剣な顔になった

[*前へ][次へ#]

12/30ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!