[携帯モード] [URL送信]

よみもの~中等部編
7 ~yuka

もみくちゃハズエ団子が気になりつつも、私達にはどうしようもない、と、
カノンと一緒に苦笑いしながら教室に向かう

「由香ちゃんは桃城君には?」

「うん、ま、放課後…ね…アンタもでしょ?」

少しだけ俯いて、うん、と、小さく頷くカノン

「由香ちゃん...あの、ね」
「お!ユカちゃんとカノンちゃん!!」

カノンのコトバはチョコ回収朝の部を終了した桃城君によって遮られた
まったくなんて間が悪いのよ、コイツは
だから、ちょっとムッとして。。。

「桃城君、沢山貰ったね?んじゃ、私のなくてもいいよね」
「良くない!俺が一番楽しみにしてるの知ってるだろ?」

桃城君はムキになって言い返すもんだから、ついイジワル心が湧いてくる

だからって、階段の途中でとまってるわけにはいかないから、
とりあえず、踊り場までのぼることにしよう
私が足をすすめると、カノンも桃城君も、それにあわせて、のろのろと足をすすめた

「それじゃ、今あげよう」

踊り場についた私は、わざとらしくニッコリと笑って桃城君の顔を見上げてやる

「ダメ!
 部活後にデートだろ?そん時じゃねぇと、ムードでねぇだろ?」
「別にムードはいらない
 ってかさ、今渡しちゃえば、私の荷物が減って万々歳なんだけど?」

追力負けしそうになるけど、私だってココで負けるわけにはいかないのっ!
アドヴァンテージは渡さない

私と桃城君、睨み合って。。。
これじゃとても『カレカノ』なんかにゃ見えないね、うん、間違ってもみえない

にらめっこも佳境に入ってきた頃に、カノンが遠慮がちに口をひらいた

「あの、桃城君?」
「ん?なんだい、カノンちゃん?」

ははっ!勝った!!
桃城君が先に目をそらしたよ!カノン、恩に着るっ!!

「あの...よかったら、これ...いつも良くしてもらってる、から...」

カノンがさっきハズエ君にあげたチョコと同じ大きさの包みを桃城君に手渡すと、
桃城君は、マジか?いいのか?と、これまた有り得ないくらいのリアクションではしゃぎだす

「よかったじゃん?
 それきっと、カノンのお父さんがベルギーから買ってきた高級チョコだよ?
 カノン家って食い道楽だからね」
「そうなのか?」
「あ、うん...でも、そんな高級ってわけじゃ...」

「へぇ〜、楽しみだな?な?」

おおはしゃぎの桃城君、さすが食欲大魔神

「おい!海堂、見ろよコレ!カノンちゃんにもらったんだぜ?」

そのバカ声の先には、やっと解放されたのか、海堂君が階段を上ってくるのがみえた
うん、また今年も大きな紙袋持ってるよ

それにしたって、バカかアンタは、カレシ君に自慢してどうする!?
だけど、海堂君は、別段気にもせず、おぅ、と言うだけ

「おはよ、今年も沢山貰ったね〜」

私はからかうように言うと、海堂君はそんなんじゃねぇと、口を尖らせる
わかってるわかってる、キミが本当に欲しいのは、カノンからだって、さ

「おはよう、海堂君」
「おぅ」

ほ〜ぉら、私達に向ける時は違う笑顔を、カレシ君に向けるカノジョ
そしてカレシ君だって、おんなじ『おぅ』でも、雰囲気全然違うもんね

「そんじゃ私達は先に行くとしますか?自称カレシ?」
「おぅ!じゃ、海堂、あとでな?カノンちゃんありがとな?」

一応ね、私達だって気を利かせてあげてんの!
感謝しなさい!!

[*前へ][次へ#]

10/30ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!