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よみもの~中等部編
木陰のベンチで〜canon
ダブルス2と1、そして海堂君が勝った事で、準決勝は青学の勝利
そして、全国大会の出場権を得た
試合後、テニス部の人たちが集まって、差し入れを囲んでいる
もちろん私はその輪にはいることはないけど。。。
試合直後、大会本部の設置している医療テントで、手当を受ける為に、
コートを離れた海堂君のコトが、何だか気になって。。。帰るに帰れない。。。
海堂君は、なかなか戻ってこなくて、傷か深いんだろうか?と、
心配になり、そわそわしはじめた頃、やっと、おでこに絆創膏を貼って戻って来た
そういえば。。。
首から上の傷って、ちょっと切っただけでも、
血がいっぱい出るってきいたことあるから。。。
でも、よかった、絆創膏だけなら。。。そんなに傷、深く無かったんだ。。。

安心したトコロで、私も、少し離れた木陰のベンチで持参した軽食をとる事にした
けど。。。暑くて食欲がない。。。
食べないとバテるのはわかっているから、無理矢理でも食べる努力をする。。。

食パンにサワークリームとラズベリージャムを挟んだサンドイッチ
ヨーグルト、そして、フルーツサラダで水分とミネラル、タンパク質を補給
。。。って、ホントにこれでいいのかな?
雑誌の『夏を乗り切ろう特集』に、載ってたままのメニュー。。。だけど
身体を冷やすものばかりじゃない?
逆に夏バテ推奨メニューのような気がするんだけど。。。
ま、食べないよりはいいのかな?
そんな事ばっかり考えて、手も口ものろのろとしか動かない
飲み物は、オレンジとグレープフルーツのミックスジュースが疲労回復に効果的、とも書いてあったので
朝、ジューサーで絞って作ってみた
ちょっと苦みがあるけど、オレンジだけのジュースよりも、さらっとしていて飲みやすい
うん、これならするする入る、私好み

結局、持って来た量の1/4も食べないうちに、食べるのが嫌になってしまい
スプーンで、ヨーグルトをかき混ぜていると、海堂君がのっそりと歩いて来るのが見えた
「おぅ...」
それだけ言うと、私の座ってる横にストンと腰を下ろす
「試合、お疲れさま...傷、どう?」
「...大した事ねぇ」
そういう海堂君に、おしぼりタオルを渡した
海堂君はたたんだままのタオルを目に当て、ジィッと動かない
暑かったもんねぇ、今日も。。。
プラスチックのコップにジュースを注いで渡すと、うん、と言ってそれを受け取って口をつける
どうやら予想外の味がしたらしくて、一口飲んで、おや?という顔になった
「オレンジとピンクグレープフルーツのジュース、疲労回復に効くんだって」
ふぅん、とコップの中身を見つめて、また口に持っていき、飲み干した
「お前、ほとんど食べてないじゃないか」
空になったコップを渡しながら、お弁当箱の中身をみて言う
「あ...うん、暑くて、ちょっと...
 海堂君は?差し入れ、あったみたいだけど?」
「俺も...」
食欲ない?
痛くて食べたくない、とか。。。
それに、大勢でわいわいするの、苦手だもんねぇ。。。
「コレ、食べて?あっさりしたものばかりだよ?」
お弁当箱を差し出すと、素直に、つまんでいく
コップにもう一度ジュースを入れて渡すと、それも素直に受け取り、こくこく、と飲んだ

「決勝、だねぇ...すごいなぁ...
 私...ごめん、ね、応援には来られないけど、がんばってね?」
「お前も...連弾の予選、もうすぐだろ...がんばれ、な?」
折角の決勝なのに、その日は連弾の予選直前のレッスンがある
「本選、8月のアタマ、だったな...」
にっこり、とまではいかないけど、いつもの厳しい顔つきじゃない、優しい顔になる
「全国大会の...練習あるでしょ?無理しなくていいから」
「聴きに行くって言っただろ?
 お前だって約束通り本選に残って、練習忙しいのに、応援に来てくれたんだろ?」
そう言うと、しばらく黙ってた海堂君が、声を出して笑った
「なに?」
あまりにも珍しくて、びっくりしてしまう
海堂君は、あ、と一瞬だけ気まずそうになって、プイっと視線を外した
「なんでもねぇよ」
照れ隠し。。。だ
「もっと食べて?」
フルーツを楊枝にさして、ハイ、と渡す
「お前ももっと食えよ、バテても知らねぇぞ?」
「はぁい」
こういう時、なんだか海堂君がお母さんみたい
はずえクンにもこんなカンジだもんねぇ。。。
またこんなコト考えて、顔が緩んでしまうよ

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