弱ペダ小説
MerryX'mas(金巻)
巻「…っ!で、出来たっ!!」
冬だというのに、若干汗ばんだ額を拭い、先程作り上げた物を綺麗にラッピングして行く。
巻「ふふっ、びっくりするっショ//…って、ヤバイ!朝練遅刻っショ!!」
〜in部室〜
金「…巻島、吹雪だから仕方がないが、なぜ遅刻したんだ?」
部室では、やはり吹雪のせいもあり、皆で雑談をしていた。
金城は巻島を正座させると、そのまましばらく説教をした。遅刻したのもあるが、巻島が理由を述べなかったのだ。
金「幸い、今日は臨時休校だが部室はあいている。雑談に加わるといい」
そう言うと、金城は奥の部屋へ消えていった。おそらく、主将の仕事だろうと巻島は思った。
巻「…ショ…」
残された巻島はあまり元気が無かった。金城は自分を嫌ってしまったのだと思い、正座を崩しぺたんと座り込むと、そのまま俯いてしまった。心配した後輩たちが駆け寄る。
坂「…巻島さん?」
小野田が不安げに顔をのぞきこむと、巻島の目尻には大粒の涙が溜まっていた。
坂「…!ま、巻島さん、大丈夫ですよ!」
異変に気づいた今泉たちも、フォローに入る。
今「嫌われたわけじゃないですよ、安心してください」
鳴「そうですよ巻島さん!…ん?なんや、甘い匂いせんか?」
その言葉に、思い出した様に鞄から小さなつつみを出す。
坂「巻島さん…それって…」
巻「…っ、ぅ…//ポロポロ」
小野田の言葉に、金城のことを思い出し、涙が止まらなくなる。
坂「ぅあっ!す、すみません!」
必死にあやまる小野田の後ろから、ずっと黙って見ていた田所がやって来てーーー
すぱんっ!!
巻「……!」
ーーー巻島の頬を、力いっぱい叩いた。
突然のことに、誰も思考がついて行かず、ただ痛みだけを感じていた巻島は、しゃくり上げながら泣いていた。
田「それ、金城に渡すつもりなんだろ!朝それ作ってて間に合わなかったんだろ!?なら何で言わねぇんだよ!!」
巻「ひっ、ぅ…く…、けほ、ふ…ぅあ///ポロポロ」
鳴「ちょ、おっさ…」
田「黙ってろ鳴子!!」
鳴「ビクッ ……はぃ」
田「今から行って、渡してこいよ!」
巻「…っ!//」
巻島はすっと立ち上がり、時折よろけながらも、奥へと消えた。
〜in奥の部屋〜
金「ん…?巻島、どうした!?」
方頬は赤く腫れ、顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
巻「こ、れ…ひっく、金…じょ…に、けほ…つく、て…うぁぁぁ///ポロポロ」
両手でしっかりと小包みを持ち、金城へ差し出すも、言葉が上手く発せれず、本格的に泣き出す。
金「これ、もらっていいのか…?」
なんとなく状況を把握した金城が、小包みを受け取り、開けてみると…。
金「これ…、巻島が作ったのか…」
中には可愛らしいクッキーが入っていた。ツリーやキャンディースティック等の型で、綺麗にくり抜かれた物もあれば、型を使わず、おそらく自分で形を作ったであろう蛇の形の物まであった。
思わず口元が緩む。
巻「ひっく…、ぅ…けほけほ…///」
金「あ、大丈夫か?」
巻島が咳き込んでいるのが分かり、優しく背中を叩いてやる。
それに安心したのか、目がとろんとしていき、うとうとし始める。
金「…少し眠るといい」
巻「……ん…Zzz」
直ぐにすーすーと寝息を立てる。金城に寄りかかるように眠る巻島の寝顔は、どこか幼さが残っていた。
金「パク…モグモグ…ん、うまい…!」
金城は、蛇の形のクッキーを頬張ると、小さく呟いた。
巻「…ふふ…///」
その声に反応してか、眠っている巻島は、小さく笑った。
MerryX'mas…よい夢を…
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