弱ペダ小説
俺の1番の(金巻←東)※暗いうえに金城さんが出てきません。
ずっと好きだった想い人が、誰かに取られてしまうと、こんなにも辛いのか。想い人は幸福を得ても、俺は未だに未練を残すことしかできない。
大好きな想い人の幸せは、1番の願いだが、あわよくば俺と、と黒い感情が出てきてしまう。
毎日の電話やメールを重ね、やっとの思いで想い人の隣をゲットしたと思えば、その更に上を行く者が現れ、取られてしまう。
まだ、声を掛ければ振り向いてくれるだろうか。少しだけ、俺のことを見てくれるだけでも嬉しいんだ。
「巻ちゃん」
思い切って声を掛けた。丁度、金城と話をしているところだった。忘れようとしていた黒い感情が、次第に大きくなるのを感じた。
「東堂か、どうした?」
さっきまでの楽しげな笑い声や表情とは打って変わって、いつもの無表情になってしまった。明らかに違う声のトーンに、理性がとんでしまった。
「何がいけないんだ巻ちゃん!俺に無くて、金城にあるものってなんなんだよ!!」
怒りに任せて怒鳴り散らす。少し鬱憤ばらしが出来たような気もしたが、巻ちゃんの怯えた表情を見たら、罪悪感だけが残った。
「すまない…」
理性が戻り、怖がらせてしまった巻ちゃんに、心から詫びを入れた。
「…、…」
巻ちゃんは、返事をしてくれなかった。嗚呼、これは完全に嫌われてしまった。どうせ嫌われたのなら、けじめとして最後に、ずっと思っていたことを聞いて終わりにしよう。
「巻ちゃんは、俺にどんな感情を抱いている?」
その時、小さく巻ちゃんの肩が跳ねた。まだ怯えているのだ。
「…俺は、絶対負けたくないライバルだと思ってる」
質問への予想外の答えは、いつも以上に凛とした声で、俺の心に染み渡った。その時、自分の醜い心が浄化されるのが、自分でも分かった。だが同時に、巻ちゃんにとっての1番になれなかった悲しみが立ち込める。
「俺にとっての1番のライバルはお前だけっショ」
「巻ちゃ…!」
巻ちゃんの優しい言葉に、思わず涙が溢れてくる。
「俺は、お前とはいつまでも、正々堂々と戦える関係でいたかった。すまないっショ」
そういうことだったのか。全く悪くない巻ちゃんに謝らせてしまったうえに、自分の勝手な感情で迷惑を掛けたことが情けなくて、顔を上げられない。
「いつまでめそめそしてるっショ、いい加減泣き止め。これから勝負するんだからよ…正々堂々のな」
顔を上げると、逆光でよく見えなかったが、巻ちゃんは微笑んでいるように見えた。
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