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この手を選んで



待ちを歩いていたらたまたま隆也の姿を見つけて、何だか嬉しかった。


ただ、その笑顔が俺に向けられていないことだけに、無性に腹が立って。


















嫌だ嫌だと煩く抵抗をしていた隆也を鎮めようと怒気たっぷりの声で呼んだら、恐怖のせいか気を失ってしまった。


「‥‥隆也?」


今度は普通に呼んでみるけど、反応が無い。

まあいいか、なんて独り言呟いて、隆也のズボンのポケットに手を突っ込んだ。



「んーと‥‥あ、あった」


手の平に納まる折り畳み式の携帯を見つける。あ、今は黒いの持ってんのか、なんて考えながら開いて、電話帳を見た。



隆也の今の相手は知ってるんだ。

あれは確か西浦で隆也と同じチームだった男。主将だったんだから余計に記憶に残っている。



「‥‥こいつか」


花井梓。そうそう、この名前も記憶に残った理由だっけ。女みてーだよな、身長は俺とそう変わんねえってのに。しかも昔は坊主で‥‥あ、やばい笑えてきた。


まあ冗談は置いといて、俺は自分の携帯を出すと赤外線で花井という男のデータを送った。もちろん保存も。







「‥‥ん」
「あ、起きたか」
「‥‥!え、榛名?」


俺を視界に捉えた途端隆也の顔が青ざめた。なにコイツ、そんなに俺が恐いわけ?ちょっと傷付くんだけど。


「携帯返してください」


キッとこちらを睨んで、俺の手から携帯を取り上げた。その手が微かに震えていて更に虐めたくなるけど、それは流石にやめといた。





「‥俺に、何かしたんですか」
「さあ?パンツに手ェ突っ込んでみればわかるんじゃね?」
「っ‥‥。もういいです。帰して下さい」


今にも泣きそうな顔して、強がっちゃって可愛い奴。



「カギ、開いてるぜ」


不敵に笑って言ってやると、隆也は即行車から降りた。

そのままばたばたと走り去って。












良いよ、今は逃がしてやる。あいつの所に帰れば良いさ。


だけど、絶対俺はお前を手に入れて見せる。





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