神様とのキャッチボール
4.また会う日まで
数日前に問題となっていた隕石は突如霧散するように細々となり星降る夜を演出した。しかし少年にはそんなことはどうでもよかった。友達がいなくなったことの方が重大であり、心に空いた大きな穴のため、ぼーっとして日々を過ごしてしまっている。
今日もいつもと同じように空とキャッチボールをしている。これで満足できていたはずなのに今は足りない。そんな中、白い雲がぽつんと浮かんでいることに気づいた。少年は抱いた希望をすぐに振り払った。
神様は忙しいんだ、そう何度も同じ場所に来れる訳がない、と自分に言い聞かせた。
しかしきっぱり振り払うことはできなかった。あれは神様が乗った雲でボールを投げればまた神様が落ちてくるのではないかと思ってしまう。ダメでもともと、投げることにした。
少年は構え、そしておもいっきり投げた。ぐんぐん昇っていく。ボールの白と雲の白が重なり合いどこにボールがあるか分からなくなってしまった。
少年の首が痛くなり、雲が位置を大きく変化させたころである。青空の中に白い点が一つ浮き出てきた。少年はボールをなんともなくキャッチした。そしてボール以外には何も落ちてこない。少年はボールをキャッチした後も空を見上げたままだ。
しばらくして少年は勢いよくうつむいた。目は閉じている。しばらくそのままうなだれていた。
「そうだよね。落ちてくる訳ないよね……」
少年は呟いた。ボールを握り、次はただおもいっきり投げようと暗やみの世界から抜け出した。
「汚れ? いや――」
取るときには気付かなかった。しかし投げたときとはボールは明らかに違う。ボールにはこんなことが書かれていたのだ。
『また一緒にキャッチボールしようね!』
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