君の声と魂と悪魔と。1 ★悪魔パロ ただの趣味の塊です。シリーズにするかも。 「召喚してみて思ったんだけど、これってただの人間じゃない。なんで本とかに載ってる凄い悪魔じゃないの?」 はあ、とため息を吐くそいつに眉をしかめる。 手前が呼びだしたくせに、何だ御その言い草は。 べつに契約もしてないし、これで帰ってもいいんだがせっかく出てきたのに帰るのも癪に障る。 そして、こいつに何も言い返さずに魔界に帰るのも嫌だ。無償に腹が立つ。 「ねえ、聞いてるの? 悪魔さん?」 皮肉めいた言葉と顔。ああ、これは捕食者の目に見ている。 人間の身でありながら、なんと悪魔に近い存在なのだろうか。 これほどに欲望に忠実…純粋な奴は居ないだろう。 それは褒めてやる。だが、召喚した以上、何かを願ってもらわなければ、こちらとしても呼ばれ損なだけだ。 別に腹は空いていない。魂も別にうまそうではないし。これは暇つぶしになるかもしれない。 「願いをかなえて欲しいのか、帰っていいのか早く決めてくれねえか?」 「………」 やっと言葉を発した俺に少し驚いたようだが、言葉を理解すると顔をゆがめる。 ああ、こいつは何て。 「……人語を理解してないのか、と思ったけどかなり流暢にしゃべれるようだね?」 「こことあちらの言語は変わるが、簡単に覚えれるがな」 「………じゃあ、さっきまでの無言はなんだったのさ?」 「別に。 で?どっちにするんだ?手前から魂が取れねえなら他を当たる」 別に今は誰にも呼ばれてないので急ぐ必要もないのだが。 そんなことを思いながら、取り出した煙草を宙に浮かべ火を付ける。 それを見ていた男は嫌そうに顔をゆがめる。そして灰皿のようなものを差し出して来た。 「俺は煙草吸わないけど、この前貰った奴があるからね。これに灰を捨ててくれよ」 「………」 無言で了承し、落ちないように出来てはいる灰を灰皿へと落とす。 でも、まあ、どうすっか。 しばらく様子を見る、ということでいいのか。 暇つぶしだしな。いい余興になるように苦手だが、俺も細工をすることにしよう。 「用がねえなら、俺は帰る」 と、指を鳴らす。後ろに出現する異空間に男が驚く。 煙草を灰皿へと押しつぶし、手持無沙汰になった手を男に向ける。 「一度召喚された悪魔は同じ人間の元へ二度は来ねえ。俺は腹が減ってねえから、手前の魂を取らねえが、他の奴らには我慢っつーのがねえからな、喰われねえように気をつけるこった」 皮肉を込めてそう言い、笑いながら異空間へと入る。 締めようと再度指を鳴らす直前に、男が叫んだ。 「…おい!」 「………」 ゆっくりと振り向くと、先ほどの飄々とした男の表情ではなかった。 どこか焦ったように言葉を詰まらせる男に初めて俺は興味を持った。 何処か小奇麗な顔だとは思っていたが、その顔は好きだ。プライドをへし折りたくなる。 「なんだ、願いがあるなら叶えてやるよ」 再度取りだした煙草に火を付けながら笑う。 ああ、久しぶりに愉快だ。これほど楽しいことなどあっただろうか。 「………俺、の、……」 「当ててやろうか、手前の願い事」 「…!」 は、とした男の名前を思い出しながら、俺は異空間と室内ギリギリの境界線へと近づく。 煙草を大きく吸い込み、後ろへと放る。 「手前は人が好きだが、自分は愛されない。それは自分のことをよく理解しているから、………なあ? お前はいい悪魔になれるぜ…?」 人間なんてもろくて儚くて、それでいて、愛おしい。 そんな気持ちが駄々漏れな男、折原臨也の顔を見て笑う。 「愛されたいか?手前の行いを見て引かれない存在なんて、悪魔だけだろう…? 俺の卷属になるなら、手前の願い事、叶えてやる」 人間と悪魔の時間など一瞬だ。それなら俺と同じ存在になればいい。 「……愛…、」 「そうだ、契約抜きで手前のことが気に入った。俺たちの時間に合わせていたら手前なんて死んじまうからな、俺と同じになれ、………臨也」 「……俺、を?」 「ああ、そうだ。俺は手前を愛せる、手前も俺を、俺だけを愛せばいい」 なんて陳腐で堕ちた言葉なのだろう。 だが、気に入ったのは確かだ。コイツが操る世界を見てみたくなった。 だから。 堕ちてこい。 その世界は退屈だろう…? 「……君の、名前を、きいてなかった、ね」 「ああ、そうだな、俺は420の旅団長になる。名前は…」 「420…しずお…シズちゃん、でいいよね」 「……まあ、いいぜそれで。対して変わらねえし」 じゃあ、と手を差し出してきた臨也に俺はほくそ笑む。 「契約完了」 これで、手前と俺はずっと一緒だ。 なんて思いながら臨也を引きこみ、喰らい付くようにキスをしてやった。 終わり 110117 久しぶりの更新がたぎったパロディ。 いや、いいよね、人外好きです。パロならとことんパロりたい。 シリーズにしてみようかと思います。 [*前へ][次へ#] [戻る] |