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バスケ漫画小説(年齢制限なし)
逆行した黛in誠凛が海常と練習試合をする話
 黛さんは主要キャラとは原作通りの年齢差ですが事情で一年留年しているという捏造設定(でないと黒子一年生時の最上級生=二年生の誠凛に黛さんがいるのはおかしいので)。
 この話は腐向けではないつもりですが、腐向けも書く人が書いているので生産元を気にされる方は各自自衛して下さい。
 原作程度の、黄瀬が黒子に執着しているような描写を含みます。親愛なのか恋愛なのかその辺りは全く掘り下げずに投げっぱなしですが一応。
 タイトルからして出おち感満載な感じですが大丈夫な方だけどうぞ。







 洛山高校三年、黛千尋。
 背番号5、ポジション、パワーフォワード。
 これがオレのスペックだったはずなのだがオレは夢でも見ているのか。
 それとも、洛山で赤司や白金監督にしごかれたと思っていた日々の方が夢だったのか。
 オレは、WC決勝でオレらを負かしたあの誠凛にいた。
 それも、とある事情で出席日数が足りずに留年してしまい、一年生を二回やった挙げ句洛山から転校してきた転校生として……。
 ああ、転校自体はよくある“家庭の事情”って奴だ。洛山には運動部スカウト組でレギュラーに入るような天才ども専用の寮があるにはあるが、一周目で三年生まで鳴かず飛ばずだったオレが寮に入れるはずはないので、京都の自宅を引き払って東京に引っ越すと言われたら転校するしかなかったのさ。
 でも一年生二回目、一周目入れたら三回目はさすがにだりいな。
 勉強も洛山に比べてアホみたいに簡単だし。
「黛君、学年一位なんだ。すごいわね」
 学年二位の相田って、誠凛バスケ部の女子高生監督に話しかけられ、オレは読んでいたラノベに栞を挟んで相手することにした。
「ここの前は洛山だったからな。前に習ったところだからまあ余裕だ」
 三回目だからとは面倒だから言わない。
「洛山!?バスケ強いとこじゃない!何かスポーツやってた?」
 なんだ、こいつの品定めするような目は。
 オレは相田が薄気味悪く思えてきた。
 こいつ、創部二年で全国制覇したチームの監督だっただけあってどこか普通じゃない。
「バスケ部だけど。……なんだよ」 
 新設されたばかりの誠凛にはオレと同い年の奴はいない。
 在校生全員オレより年下だってのにこの威圧感はなんだ?
 オレの席の周りは女子高生監督の相田の他、イーグルアイの使い手の5番やらその他大勢に取り囲まれていた。
 主にイーグルアイの5番のせいで視線誘導がきかず、逃げられそうにない。
「私は相田リコ。誠凛バスケ部の監督やってるわ。黛君、洛山でバスケ部だったならうちに入らない?とりあえず、こっち来て」
 バスケ部の更衣室に連行されるように案内され、オレは首をかしげた。
 誠凛の更衣室きたねえなあと場違いな感想を抱きながら相田の意図をはかる。
 7番の無冠の鉄心がいないのは何か用事でもあるんだろうか。
「で?」
 オレの雑な問いかけに相田が言った。
「今すぐ制服を脱いで!すぐ終わらせるから」
「は?!」
 隙あらば身ぐるみ剥ごうとしてきそうな目で見てる奴らを蹴飛ばしてでも、視線誘導駆使して逃げようとも思ったが、今時珍しい学ランの制服の連中の中、元の学校である洛山のブレザー制服を着ているオレには悪条件すぎる。
「……ハァ。これでいいのか」
 オレが諦めてでかいため息をついてからブレザーとワイシャツとスラックスを脱ぐと相田は目を見張った。
「よく鍛えてるじゃない!黛君、全国大会の出場機会はなかったはずだけど、スペックはなかなかね。他の強豪校ならじゅうぶんレギュラーになれるレベルよ」
 お前、いったい何が見えてんだよ。
 怖っ。
「なあ、もう服着ていいか」
 女子の前で半裸とか、事情を知らない奴が見たら不審者かと思われそうで冗談じゃない。
 相田の了解を得て元通り制服を着たオレはネクタイを結びながら聞いた。
「なんだったんだ、今のは」
「カントクは身体見ただけでスペックが分かるんだよ。すごいのはそれだけじゃねえけど」
 なるほど分からん。
「黛君、お願い、バスケ部に入って!」
「オレ達とバスケ部で全国制覇しよ」
 実渕とマッチアップしてた奴がそうだ、京都へ行こうぐらいの明るいノリで言った。
「…………」 
 オレとマッチアップしたことのある8番が黙って頷いている。
「水戸部も一緒にバスケしようって言ってるし」
「……いや、明らかに言ってねえよな」
「バスケット部でバッ、助っ人募集中!キタコレ!」
 ラクダが楽だって言ったとかなんとか試合中に寒いダジャレを言ってた5番がオレのツッコミを華麗に無視して絶好調でダジャレを披露する。
「伊月黙れ」
 4番のメガネが突っ込む。
 洛山のブレザーのせいで目立っているとはいえ、こんなに注目されるのはオレの人生で二回目……あのWC決勝をノーカンとすれば人生初めてのことだ。
「まあいいけど」
 退部したオレを呼び戻しに来た赤司にはそれなりに抵抗したオレも、ここでは拒否する理由は特にないのであっさり頷いてやった。
「ただ、オレは全国高体連の規定で半年は公式戦に出られない。学年はお前らと同じだが実は一年留年しているから三年生の年は年齢制限で出場出来ない。来年しか試合には出れねえけどそれでいいならな」
 二月か三月に開催される新人大会には転校したてで参加資格がないので、実戦で戦えるのは今の高一が高二(キセキの世代が高一)の年だけってことになる。
「オッケー!オレ達一年生だけで決勝トーナメント進出してるんだよ。元洛山の黛くんも入ってくれればきっと全国行けるって」
 実渕とマッチアップしてた奴、たしか小金井が明るく言った。
 試合でもそうだったがこいつは盛り上げ役のムードメーカーらしい。
 という訳で勧誘を受けて転校早々バスケ部に入部を果たしたオレだったが。

 年度変わって四月の月曜日、大事件が発生した。
「1-B 5番!火神大我!!『キセキの世代』を倒して日本一になる!」
 は?いったい、なんなんだ?
 全校朝礼のため普通に整列していたオレは突然屋上から聞こえて来たでかい声に驚いていた。
 火神大我……WCで対戦したことはあるが、あいつずいぶんでかい口叩くんだな。
(主将のメガネこと日向いわく、去年は誠凛メンバーみんな、屋上からの個人目標絶叫をやらされたらしい。ちなみにオレは影が薄いから忘れられたのか、特に何も言われなかったからやってない。まあオレチームで一番年上だしいいのか……?)
 ちなみに入部した一年生は四人。
 火神、降旗、河原、福田、以上四人。なぜか黒子はいなかった。
 なんでだ?
 いやまあ、オレと黒子が同時にチームにいたらダブルミスディレクションつー訳にはいかねえし、普通に考えて黒子より薄くないオレが割りを食うだろうから黒子いなくていいんだけどさ。

 TFSで知り合った笠松から以前聞いた話だと海常と誠凛は練習試合をしたことがあって、練習試合の話を聞いた黄瀬は部活をサボって誠凛に行ったことがあったらしい。
 だが、それはたぶん帝光でチームメイトだった黒子がいたからであって、黒子がいなければわざわざ部活をサボって笠松の暴力的指導を受けるような真似するはずはない。
 海常との練習試合で海常に出向くまでの間に黄瀬が誠凛に来るなんてイベントはもちろん発生しなかった……。
 オレが経験した一周目とはこの時点で結構変化してきている。
 まあオレと黒子じゃ影ってことは一致してても、性格も経歴も行動パターンも全然違うから当然だよな。

「どもっス、今日は皆さんよろしくっス」
 海常に着いたら黄瀬が迎えに来た。
 これはたぶん一年生だからそういう雑用を振られたってとこだろうな。
 いつもより目付き悪い火神が黄瀬に早速ケンカを売っている。
 オレは仲裁に入るようなキャラじゃねえから当然放置だ。
 コート片面で試合してしかも黄瀬抜きで調整とか言ってやがる海常の監督に相田がぶち切れそうになってるけど、そういうののフォローなんかもオレは基本しない。誠凛はまとまりがいいチームだったからオレが出るまでもなく勝手にまとまるだろ。

「それではこれから誠凛高校対海常高校の練習試合を始めます」
 こうして練習試合が始まった。
 オレは誠凛に来てから初のスタメン。
 4 SG日向
 5 PG伊月
 8 C水戸部
 10 PF火神
 11 SF黛
 なに、ポジションが違う?
 火神とポジション争いなんて勝てる訳ねえし。SFは高校からバスケ始めた小金井だったからこいつなら勝てるかなってことでコンバートした。
 オレは苦手なプレーがなくパス回しが得意だからPFというより元々SFに向いてるからそれほど違和感はない。
 黒子と違って、いないと思われるほど影薄くねえから特にびっくりされたりもしない。
 まあ普通にスティールはしたけど。
 試合開始早々笠松からスティールしてドリブルして火神にパスして火神がダンクしたらゴールのリングが漫画みてえにぶっ壊れた。
 マジか。
 すげえパワー。
 これでとりあえずコート全面で使えることになった。
 黄瀬が呼ばれ、向こうも黄瀬を入れてWC出場時のベストメンバーになった。
 ゲーム開始から三分、両チームの得点は誠凛16対海常17。
 洛山の時は赤司が火神をそこそこ抑えてたから、そんなに点取られてなかったけど、火神も黄瀬も相手をあまり抑えられてないのでノーガードで殴り合うこととなり、こんな展開になっている。
 オレは腐っても洛山にいたし二周目のアドバンテージもあるからまだ大丈夫だが、他の奴がこのままだともちそうにない。
 タイム取らせるか。
 でもオレ相田に手を振っても全然気づいてもらえねえんだけど。(涙)
 主将の日向に言って日向経由でタイム取ってくれって言うか。
 と思ったら相田がタイムを申請した。
 オレと火神以外は結構消耗が激しい様子だ。
 どうすっかな……。
 オレはまだミスディレクションを使っていない。
 WC準決勝まで隠してたんだから今使ったら早すぎるだろ。
 洛山にいた時もまだこの頃はミスディレクション習得してなかったから当然使ってないしな。
 いつ解禁するかが問題だ。
 それに黄瀬にはパーフェクトコピーっていう最強のコピー技がある。
 パーフェクトコピーのために観察力が強いとすると、元々黒子のチームメイトと言う経歴でもあるからオレがミスディレクションを使ったら最後、オレも黒子と同系統の選手であることが高確率でバレる。
 それはオレの能力の性質上、避けたい。
 オレはあくまで普通の選手と思わせなくてはならない。
 だが、黒子はあいつの身体能力から考えるとミスディレクションをガンガン使ってたと思われるんだよな。うーん。
 相田の指示でDFをマンツーからゾーンにチェンジ。黄瀬が来たらヘルプ早めにと言われたが……。
 これ、笠松に好き放題やられないか?
 あいつも月バスに取り上げられるくらい優秀なPGだぞ、不味くね?
 嫌な予感がしたが、笠松のマークは伊月だ、任せるしかない。
 と思ったら3P入れられた挙げ句に、
「海常レギュラーなめてんのか?ヌリいにも程があるぜ」
 って啖呵切られた。
 だよな。
 二周目の強くてニューゲーム状態なのにあんまりメリットを生かせてねえな。
 どうしたらいいんだこれ。
「そろそろ諦めたらどっスか?……キミらとウチじゃスペックが違いすぎる」
 黄瀬は火神にケンカ売ってるし。
 おいおい、それはスペックで旧型に勝ってたのに試合に負けたオレ全否定かよ。
「おい、試合結果はスペックで決まるもんじゃねえぞ」
 オレが横から口出すと黄瀬がぎょっとしたように言った。
「うっわ目の前にいて気づかなかったし……アンタ、何者っスか」
「誠凛高校11番、二年SF、黛千尋だ」
 火神が入部したことにより簡単に追い抜かれたので背番号は火神の次の11になったという経緯がある。11って一周目の誠凛ではWC決勝で戦ったあの旧型君の番号だったんだよな。
 あんまりそこ追及したくねえけど。
「黛さんっスか。覚えておくっスよ」
 なんかうやむやに終わって、オレは気づいてしまった。
 この試合で笠松が聞いたという火神の名セリフ、
「勝てねエぐらいがちょうどいい」
 というのが聞けなかったってことに。
 ともあれ、WC決勝で間近で見た黒子と火神は息ピッタリで連携してたし、オレらも連携しないとだよな。課題はそこだろう。
「火神、オレもお前にパス出すからお前もオレにパスよこせよ」
 火神は帰国子女だっていう話だし、敬語は壊滅的だしあまり敬われてる気はしないが一応オレが年上ってことで多少遠慮しているのか黒子に対する対応とはなんか違う気がするけど……まあしょうがねえか、最初はこんなもんだろ。
「黛君、黄瀬君のマークお願い」
 出来るか!
 いくら二周目特典あってもオレは海常と対戦したことないんだし黄瀬の癖なんてほぼしらねえぞ。
 洛山みんなで観戦してた時に黄瀬がキセキの世代の技を続けて使わない傾向があるって聞いたくらいだな。アドバンテージあるとすれば。
「オレは高さでは黄瀬にはかなわない。抜かれるのを最初から想定して火神にフォローさせてくれよ。二対一ならまあなんとかなんだろ」
 緑間をマークした時はオレと実渕、火神をマークした時は葉山とオレだったから平面勝負しないと高さでは勝ち目がなかったけど、今回は火神が味方だから高さで勝負出来るのがでかい。
 洛山は平均身長が低いチームだったから高さ対策ではかなり苦労したけど火神マジ有能だよな……。
 オレと火神の二人がかりで黄瀬を封じて、得点はクラッチシューターのメガネ(日向)やフックシューター水戸部、外からのシュート率はこの当時はまだあまりふるわないようだがパス回しがうまい伊月が頑張ってパス回して点を取る。
 そうか……なんか違和感あると思ったら7番、無冠の木吉がまだいねえんだな。
 7番なんでいねえの?って聞いていいと思うか?
 それとも誰かが説明してくれるまでスルーするか……まあ後者だな。
 面倒くさいからいいや。
 オレはわざと黄瀬に抜かせてから伊月から習ったバックチップでスティールする。
 これ、時々黒子がやってたけど決まると気持ちいいな。
 オレは気持ちのいいことは大好きだ。
 この技をもっと強化することにしよう。

 黄瀬が技を次々にコピーするので点取り合戦になっている問題についての解決法は分かっている。
 アリウープでブザービーター食らって負けたと笠松が言ってたからオレがそのお膳立てをすればいいんだよな。
 とはいえオレ火神とアリウープの練習なんてしたことないぞ?
 赤司がWC決勝でダンク決めた時、あいつは
「大型選手だけの特権だと思ったか?こんなものやろうと思えばいつでも出来る」
 って豪語したけど、あんなのブラフもいいとこで実際は完璧にタイミングを合わせてやっとこさ成功というのが現実だ。
 パスが合わなくてさんざん居残り練習させられたのはいまだに記憶に新しい。
 黄瀬は火神の近くでオレとは逆サイド、これならオレが直接決めた方がいいんじゃね?
「ナイッシュー」
 誠凛対海常の練習試合はオレのブザービーターで幕を閉じた。
 黄瀬が初めて負けたって泣いてたけど、男の涙に需要はないからどうでもいい。
 そんなことより、帰りに買い食いする話になったはいいけど4キロのスーパー盛り盛りステーキ食えとか言われて腹一杯で倒れそうだぜ。
 大阪は食い倒れって言うけどオレ京都出身だからな?
 ここに根武谷がいればよかったと悔やむがいないのはしょうがない。
 オレ少食ではないけどそこまで大食いでもないんだよな……。
 結局火神が食ってくれたから結果オーライだけどあれはヤバかった。
 あと伊月、「このステーキ…ステキ」とかそういう寒いギャグはやめろ。
 海常との練習試合の日に黄瀬と火神と黒子で不良懲らしめたとかで肝冷えたとか笠松から聞いていたけどオレは黒子と行動パターンが違うからか不良に会うとかそんなことは全くなく終わった。
 やっぱり、練習試合に来たのが黒子だと黄瀬は黒子に会おうとしてどっかうろつくから不良とエンカウントしたりもするけど、黒子が来ないとわざわざ校外へ出たりしないから未来変わるんだよな。
 これは同じ未来になるように行動する方がむしろ難しいような。
 来るべきインターハイ予選、オレの未来の知識がどこまで通用するか……。
 それはその日が来るまで神ならぬ身には知るよしもないのだった。


【続く…?】


  

 何番煎じかわからない海常との練習試合ネタでした。
 黛さん視点だと黒子視点とはだいぶ違いますね。
 誕生日ネタがなにひとつ入ってないけど、リコちゃんの料理の腕を知った黛さんはきっとケーキ焼いてあげるとか言われないように誕生日の話題を華麗に避けたかもなんて妄想してみる。
 
 ここから全然関係ないアンケート。
 黛in風見中→黛in霧崎第一ネタを書こうとして風見中の場所をどこにしようか悩んでいます。
 風見中について公式で確定している情報は
 1 実渕くんの出身校
 2 日向くんが地区も近かったと断言
 このくらいですけど地名検索すると栃木県に該当あり。まどマギには風見野市っていう架空の市もあるので仮に風見野市立風見中学校ってことにします。(まどマギだと風見野市からバスで行ける見滝原市は群馬県っぽいらしい。)
 問題は、黒子くんが中三の時の明洸に負けた京泉はどこかなって調べたら京泉も栃木県の地名なんですよね。風見中と京泉中まさかの栃木県勢同士の対決?!無理かな……。
 それか、見滝原市が群馬県だから風見野市も群馬県ってことにして群馬県対栃木県の試合だったことにするか。
 あるいは日向くんの地区も近かったって情報重視で神奈川・埼玉・千葉のどこかにしちゃうか。
 全中優勝・準優勝校一覧を見ると埼玉県勢強かったみたいなので埼玉県説も捨てがたいんですよね。
 山梨は甲延が山梨県かもしれないので東京の隣接県だけど候補から除外するとして、関東地方の中で何県にするかこんな感じで決めかねたのでアンケート取らせていただくことにしました。
 よかったらご協力お願いします。
 ここまでお読み下さりありがとうございました。

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