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バスケ漫画小説(年齢制限なし)
逆行黛さんによる黒子の敵のバスケ

 黛さんが黒子君の元敵達と桐皇で再会してバスケする話。
 黛in桐皇、花宮in桐皇かつナッシュin桐皇。
 年齢操作あり、数人ポジション変更あり。
 今回は逆行改変がメインなので恋愛要素はほぼなく、しいて言えば多少青桃っぽいかどうかな、くらいです。
   

 一周目の記憶を持ち越してきた逆行者達→黛千尋、花宮真、今吉翔一、ナッシュ・ゴールド・Jr.
 一周目の記憶を持たない桐皇の人々→諏佐佳典、若松孝輔、青峰大輝、桃井さつき、桜井良

 腐向けでないつもりで書きましたが、黛さん絡みの腐向けも書く人間が書いているのでその点、ご承知おきの上大丈夫な方のみお進みください。






 リスタート
 
 オレは逆行したらしい。
 逆行自体はラノベやオンライン小説の世界では珍しくもなんともないが、京都にあるバスケの強豪、洛山高校を卒業して大学生になっていたオレがまた高校一年生をやり直しなんて勘弁して欲しい。

 オレは手に持っていた紙にふと目を落とした。
 桐皇学園高校入学式次第と書いてある。
 ん?
 桐皇ってキセキの世代の一人、青峰のいた学校じゃなかったか?
 あと、特進科のクラス名簿も手元にあるようだ。
 どれどれ……名前順で上から見て行ったオレは本来ならあり得ない名前を見つけて絶句した。
 この世界絶対おかしい。
 どんな基準で集められた人選なんだ、一体。
 桐皇にいるはずのない人間がまさかオレ以外にもいるとは……。
 オレの前にはあの花宮真の名前がある。
 花宮は一周目ではオレとは学年一個違いの無冠の五将の一人だったのに何故かオレと同じ学年になっている。
 ていうか、生徒会という腕章つけた在校生らしき人物の顔にも見覚えがある。
 黒髪で眼鏡をかけた糸目の男は桐皇バスケ部主将だった今吉だろ。
 あいつ、生徒会役員もやってたのか。
 赤司も洛山でやってたけど運動部のキャプテンやってて忙しい奴に生徒会役員までやらせるとか大変だよなぁ。

 さてどうしようか。
 二人に前回の記憶があるかないか聞いていいと思うか?
 一歩間違えれば痛い人扱い待ったなしだが。
「なあ、花宮」
 オレは思いきって隣の席に座ってる男に声をかけた。
 遠くにいる今吉を呼んで話しかけたら目立ってしまうので今吉は後回しだ。
「は?誰だ」
 のっけから喧嘩腰な花宮はこの世界では猫をかぶらないキャラなんだろうか。
「お前、オレが分かるか?」
 花宮は特徴的な麿眉をしかめて言った。
「なんだ黛か……相変わらず薄いから一瞬誰かと思った。待てよ、お前洛山じゃなかったのか。偏差値的に桐皇は洛山よりだいぶ下だろ。成績不良で志望校変えろとか教師に勧められたか」
「んな訳あるか。オレの成績ならどこだって入れる」
 この世界では最初から同学年で普通に花宮と知り合いなのか?
 この感じだと中学の同級生かチームメイトといったところか。
 花宮は基本猫かぶりだからオレが学年一個上だった記憶があればそれなりの言葉使いと丁寧な態度を表面上は取り繕いそうだが、この態度を見る限り一周目の記憶はないと見てよさそうだ。
「成績はともかく出席日数がヤバいだろ、お前。じゃあなんで桐皇にしたんだよ」
 本来なら皆勤賞のはずなのに影が薄いせいで出席していても欠席にされていることがよくあるので、出席日数がヤバいのはオレのせいではない。
「そう言うお前は?」
 質問を質問で返すと花宮は嫌そうな顔をした。
「今吉さんに誘われたんだよ。あの人、来年は青峰もスカウトするって張り切ってるぜ」
 なるほどな。
 今吉は勝てば官軍とか平気で言う偽悪的な奴だから花宮も青峰も普通に駒として使いこなせそう。
 オレと今吉と花宮の学力なら洛山でも霧崎第一でも大丈夫だが、今吉が花宮以外の無冠を従えられるかというと疑問符がつく。
 実渕、葉山、根武谷と生意気な後輩どもの顔を思い浮かべてからオレは頭を振った。やっぱり無理だろう。
 花宮の本来の居場所の霧崎でもギリいけなくはなさそうだが、今吉、一周目で花宮の相棒だった瀬戸、オレだけでは先読みとか心読んだようなプレーはともかくどう考えても得点力不足なのでキセキの、出来れば青峰か黄瀬の力が欲しい。
 しかし黄瀬はどうだか知らないが、青峰はかなり学力が低い。
 かつて青峰が書いた愉快な解答を一周目で大学の同期生だった今吉から聞いて腹筋崩壊したことは今でも覚えているが、高校受験以前に中学の基礎レベルでつまずいている青峰が入れる高校でバスケ強豪となると……かなり限定される。
 青峰でも入れる高校にこっちが合わせてやらないとオレの能力と相性込みでのベストメンバーが揃わない以上、勝つためには桐皇へ行くしかない。
「……ポジションどうするんだろうな。PG多すぎだろ」
 あ、そういや。
 strkyでは今吉の奴、今吉、笠松、樋口と三人もPG経験者がいるチーム作ってたっけな。
 オレが大会の日に用事で行けないから樋口を紹介したせいだけど。
「多すぎ?言うほど多いか?オレはどこでもやれるからSFでもSGでもいいけど。お前こそポジションどうする?今年はともかく来年うちが青峰取ったら二年間ベンチ確定だぞ」
 青峰を来年獲得しようとしてるってことはオレ達と青峰は一歳しか違わない。
 ってことはオレだけ年齢が一個下にズレてんのか。
「そりゃコンバートするに決まってるだろ。なんとしてでもベンチに入らなきゃ逆行した意味はない」
「逆行?」
 花宮は怪訝そうに聞き返し……数秒固まった。
「どうした?」
「……オレも逆行したって言ったら信じるか?」  
「思い出したのか。ところで参考までにどんなことを思い出したんだ?」
「今吉さんが一周目では胡散臭い先輩だったこととか、誠凛のイイコちゃん達をぶっ潰せなかったこととか、いろいろだ」
 後で詳しく話を聞く必要はあるが、恐らく逆行前は同じ世界だと思ってよさそうな気がする。
 無冠の五将の一人で実渕いわくめったに見せない虚空の仕掛けを簡単に見抜いたという花宮真が一周目の記憶を持って逆行してきたなら心強い。
「なぁ、お前アレに見覚えあるか?」
 オレが前列に座っている背が高い金髪の男に視線を誘導すると花宮は目を見張った。
「ナッシュ・ゴールド・Jr.じゃねえか!なんであいつがここに」
「あくまでも想像、だが。オレとお前と今吉とゴールドの共通点ってなんだと思う?」
「誠凛の敵だったってことくらいじゃね?他になんか考えられるか?」
「現時点では仮説にすぎないが。オレは新型と旧型とか言われて旧型君とはなにかと比較され続けたライバルだし、お前はWC予選の試合動画で見たけど旧型に邪魔をするな!とか叫ばれた因縁あるだろ。今吉はWC初戦で誠凛と戦った時に旧型とマッチアップしてたし、ゴールドも多分なんかしら因縁あったと見るのが妥当だ。偶然にしちゃいくらなんでも重なりすぎてるし」
「だな。あいつぜってえ性格悪いけど手を組むしかなさそうだな」
 花宮は自分のことを棚に上げてゴールドの性格を批判した。お前が言うな。
「ハロー」
 入学式が終わると花宮は作り笑いを浮かべてゴールドに絡みに行った。花宮は霧崎第一で監督兼主将やってただけあってフットワークが軽い。
 オレのような面倒くさがりには真似の出来ない芸当だ。
「……?誰だ、てめえら」
 ゴールドは日本語で聞いてきた。
 日本人をサル呼ばわりしたくせに日本語喋れるのか。まあその方が助かるけど。
 試合を観ていたからこっちは一方的にゴールドを知っているが、ゴールドの方ではオレや花宮のことを知るよしもない。
「ヴォーパルソードって分かる?」
 花宮の質問にゴールドは顔色を変えた。
 こいつも未来から時間巻き戻って桐皇に来た奴か。
 それなら話は早い。
「オレは赤司の高校、洛山で姿消してパスを出す幻の六人目やってた黛千尋。黒子と同系統の選手と思ってくれればいい。こっちは日本の学生バスケじゃ赤司の次にいいPGという評価をされてた元無冠の五将の花宮真。得意技は審判にバレないラフプレーとスティール」
「おい」
「事実だろ。チームメイトを指揮して組織的なラフプレーで黒子の高校、誠凛のCを怪我させたから黒子が怒ってお前(花宮)にぶつけそうなパス出したとかあったな。録画で見た」
 オレは花宮の苦情を無視してゴールドに言った。
「多分ここにいるからにはどうせ黒子と何かあったんだろ。お前は?」
「飲み屋でチームメイトと楽しく騒いでたら乗り込んで来てごちゃごちゃ言うから腹に蹴り入れてやったことはあったな」
 花宮は試合中しかラフプレーしねえけどこっちはコート外でもやるのか。
 あぶねえなぁ。
「おっ、こんなところに揃ってみんなで何しとるん?一年生はとっくに解散やろ」
 腹黒眼鏡の今吉がゆっくり近づいてくる。
「そうですね。そろそろ帰ります。じゃあまた部活で会いましょう、先輩」
 花宮が今吉にあっち行けと言わんばかりの塩対応をする。こいつはどうやら今吉のことが相当苦手らしい……。
「……どうやら全員思い出したようやな」
 今吉の唇が弧を描いた。
 今回の逆行はもしかしてこいつが原因なんじゃねえのって疑惑がオレの中で生まれた。
 何故ならここに集まったのはどいつもこいつも今吉の知り合いばかりなのだ。
 中学の後輩の花宮。
 高校の後輩の青峰(予定)。
 大学の同級生のオレ、黛千尋。
 strkyでぼこぼこにされた因縁の相手、ナッシュ・ゴールド・Jr.。
 黒子と因縁があってかつ今吉とも接点があった人物のみここにいるのだから首謀者は今吉と考えても差し支えないはずだ。
 悪役っぽさの度合いから言えば元キセキの灰崎なんかも適任な気がするが(偏見)、あいつは今吉とは接点ないはずだからここに来てないんだろう。
「イマヨシだっけ。お前にはクロコとどんな因縁があったんだ?」
 ゴールドが先輩後輩関係なんぞ屁とも思ってなさそうな様子で聞いている。
「マジメにがんばれば必ず勝てるとかそんな甘ったるく世の中できてへんでって言ってやったくらいか?大したことはしとらんで」
 今吉は胡散臭い笑みを浮かべて答えた。
 strky時代にボコボコにされた恨みなどなかったことのように普通に対応している。
 こいつ懐広いな……。
 この場にいるオレ以外の三人はキャプテン経験者だが、オレは今吉がキャプテンになるべきだと思った(今は二年らしいのでまだだろうが)。
 むしろこんなクセ者揃いのバスケ部をまとめられるのは一周目でも桐皇のキャプテンだった今吉しかいない。
 花宮は中学時代のプレースタイルからして本来サポート向きだしゴールドも異国でキャプテンやるつもりはないようだし。
「ちったあマシなサルもいたようだな。あのチビや火神のいるチームを蹴散らして日本一になるところから始めるか」
 ゴールドは来日当初にチラっと見せた猫かぶりはする気もないのか、歯を剥き出して笑った。

 全員の記憶の擦り合わせは首謀者の今吉は生徒会が忙しいとか花宮は他に根回ししたいことがあるとかゴールドは言葉の壁があるとか言って嫌がったので必然的にオレがやることになった。
 逆行の時期は全員ジャバウォック対ヴォーパルソードの試合後から。
 今吉はジャバウォックとヴォーパルソードの試合を観なかったそうだが、ゴールドはその試合にフル出場していたし、オレと花宮は試合をひっそり観戦していたことがわかった。
「花宮もあの試合見てたのか。オレあの時会場に来てたんだぜ」
「らしいな。後で実渕が黛さんったら水くさいのよもう〜みたいな感じに愚痴ってた」

 花宮はめちゃくちゃに頭がよく、一度見た試合を再現することが出来る。
 その花宮がキセキ勢揃いのドリームチームのあの試合を観戦していたということは下手な記録映像より正確にデータが残っているということなので黒子とキセキ対策は万全だろう。

***

 桐皇学園バスケ部での生活が始まった。
 花宮は霧崎第一時代の一年時は控えだったが、実力主義の桐皇では早速レギュラー入り。
 スカウトされて入学したというゴールドも当然、一年からレギュラー入り。

 オレ・花宮・ゴールドが一年時の新鋭の暴君・桐皇学園高校のスタメンは
PG今吉(二年)
SG花宮(一年)
Cゴールド(一年)
PF最上(三年、副主将)
SF諏佐(三年、主将)
 これが基本。
 オレ?
 オレは隠し玉ってことでベンチ入りはしてるが、とりあえずベンチを暖めるのが仕事だ。

 ここで勝てば決勝トーナメント進出という重要な試合。対戦相手は一年生しかいない新設の誠凛高校だった。
「監督。誠凛はランアンドガンの超攻撃的チームですけど、誠凛相手ならオレのプレースタイルの方が相性いいと思うので今日のゲームメイクはオレにまかせてもらえませんか?」
 花宮がよそ行きのいい子っぽい演技して言うと、監督は髪をネジネジとねじりながら同意した。
「いいでしょう。じゃあ今日は花宮君PG、今吉君SGで」
 軽いな。マジか。
 まあ今吉、嫌な局面で3P軽々と決めてたことあったし、あのシュート力はSGでもおかしくないんだよな。
 だてに花宮や青峰の先輩はやってない。
 そもそも、実績がなければ、スカウトに力を入れている新鋭の暴君に誘われないよな。
 誠凛は木吉PGだの後出しの権利だの新技を使ってくるが、花宮いわく、一周目の一年生時に誠凛と霧崎は対戦しており、その時は一年生の花宮を起用することへの指導者の抵抗が強く、花宮投入が遅かったので反撃の時間が足りずわずかな差で一周目の霧崎は負けてしまった。
 だが、今回は誠凛の手の内を知っている上、花宮が最初から出ていれば同じ轍は踏まない自信があるという。
「まあええんちゃう?花宮がやる気出してくれてるなら」
「フッ、荷が重ければいつでも代わってやるぜ」
「あ、そうだ。冷静さを失わせるための心理的アプローチとしてオレ思わせぶりにスナップ音出したりする予定です。会場は声援とかでうるさくて聞こえないかもしれませんが、オレの手元見てそれっぽいことしたなって思ったら、抗議とか苦情とかなにかしらあることが想定されますが適当に話合わせるかいなしといて下さい。審判の笛が鳴るようなことはしないのでご安心を」
 審判の笛が鳴るようなことはしない=反則しないではないよな。花宮だし。
 バレるような間抜けなことはしないって意味か。多分そっちだな。
「指鳴らなかったら恥ずかしいから練習しておけよ」
 諏佐(一周目では東大の同窓生だったが今回は二年年上の先輩)が笑いながら言った。
 こいつも今吉とつるんでただけあって目立たないけど結構クセ者なんだよな……。
「大丈夫です。さ、行きましょう」
 花宮がギリギリ丁寧語だけど、やや腹黒さを隠しきれない感じで仕切って整列しに行く。
 オレは笑いをこらえながら見送った。

**

 ジャンプボールは諏佐対木吉。
 木吉が叩いたボールを取った伊月からのパスをすかさず花宮がスティールする。
 誠凛は虚をつかれた様子だ。
 花宮の100パーセントスティールは補助する選手がいれば強い。
 そして単体でも悪魔のように強い(なんせジャバウォックだし、ベリアルアイだし)ゴールドがまだ本性を隠してサポートに回っている上、人の嫌がることをさせたら右に出る者はいない今吉も花宮いわく、妖怪サトリかっつうぐらいに人の心を読んだプレーをするからスティール得意な奴がコートに三人もいるのだ。
 ランアンドガンの速攻を仕掛けようにもゴールドと花宮につぶされまくって思うようにチャンスが作れない。
 焦りとイライラで平常心保てないところに思わせぶりなスナップとか完全に花宮の計画通りで御愁傷様……。
 花宮の思わせぶりな発言に気を取られてゴール下でつい花宮を見ていた最上は木吉よりジャンプするのが遅れ、もつれ合って木吉を下敷きにした。
 木吉はこの時点で負傷退場。
 花宮が最上にラフプレー指示する時間はなかったはずだからあくまでも不幸な事故なのだが、誠凛の四番がキレるのも無理はない。あいつWC決勝でも審判に抗議してファウル取られてたし直情的というかわりと見境ない行動取るような性格してるしな。
 
 そう言えば、ゴールドも煽るの好きなんだよな。
 ザ悪役みたいな性格の奴が二人もいてキャプテンは大変だ。オレには関係ないから他人事だけど。

 新鋭の暴君と呼ばれるようになった桐皇学園高校は誠凛を下すと東京都の決勝トーナメントに進出。三大王者全てに勝ってインターハイに駒を進めると黄瀬入学前の海常に勝ち、インサイドの強い陽泉に勝ち、一周目のオレの二年時インターハイベスト4の大仁多高校に勝ち、秀徳との東京都同士の対決を制し、開闢の帝王洛山に勝ってインターハイ初出場にして初全国制覇するという快挙を達成した。
 オレ?
 幻の六人目だからベンチ入りはしてたけど、逆行者ではない最上と諏佐は高確率でオレを見失うから残念ながらほぼ出番はなかった。
 最上はオレとは別の意味で影が薄くてまだ主将副主将にもなってない今吉に仕切り役取られていたけど、まあ花宮の解剖によるデータバスケに対応する頭のよさはある奴だったな。
 オレがいなくても今吉、花宮、ゴールドの三人がスティールしまくって敵チームにパス出させないし、ゴールドの守備力はなかなかエグいしで向かうところ敵なしだった。

 無冠の五将が三人いる洛山でさえ敵ではなかった。葉山は平面での勝負はともかくSFとしては身長が低いのが痛い。
 つうか根武谷もセンターとしてはでかい方じゃないからでかい奴入れないと制空権取れないだろ。
 古巣の洛山の奴らが歯を食い縛って悔しがる場面を見つめながらオレはそんなことを思った。
 リバウンド取れないと勝率は三割とかに低下するらしいからな……。
 今年、まだ一年生の若松では荒削り過ぎて任せるには不安があるということでゴールドをCに持ってきたのはゴールドのベリアルアイを守備に使ったらどうなるかという実験的意味合いもあったらしい。
 試合で実験するなら本番はいつかって?
 そんなのキセキが現れる来年に決まってるだろ。
 三年のスタメンが引退するとポジションの大移動が行われた。
 
 青峰加入時の桐皇のメンバーはこんな感じだ。
背番号4 PG今吉
背番号5 PF青峰
背番号6 C若松
背番号7 SFゴールド
背番号8 SG花宮
背番号9 SG桜井
背番号10 PF黛
 一年生にまで抜かされて背番号二桁かよって気はしないでもないが、幻の六人目が出ずっぱりだと影の薄さが消えることは一周目で嫌と言うほど思い知らされたので控えの番号なのはやむを得ない。
 それに桜井も最大の武器であるクイックリリースシュートはもちろんだが、WC初戦で見せた青峰へのアリウープのパス出しアシストとか見る限り意外と器用なんだよな。
 本職はSGなのに軽々と難しいパスもこなすとか、一周目では一年生ながらスタメン取ってただけのことはある。
 まあ今回は花宮いるから控えではあるが、花宮は解剖と称して見る専やりたがる時があって出場拒否することがわりとあるから桜井もそれなりに経験を積んではいる。
 
 青峰は敵が強くなきゃつまんねえとかいう少年漫画のヒーローみたいな性格しているためうんと強い敵を連れて来ようとアメリカからシルバー達ジャバウォックを招待して対戦させるという荒療治を実施した。
 新生桐皇VSジャバウォック(-ゴールド)。
 ゴールドにとっては古巣の元チームメイトなのでほとんどの奴の能力は把握済みだ。
「あの一番でかいのがシルバー、青峰以上の敏捷性と紫原以上の怪力を兼ね備えた奴だ。あの白人がニック、得意なプレーはドリブル。スキンヘッドの奴がザック、ゴール下のプレーが上手い。ヘアバンドしてる奴がアレン、得意技は……」
 一人一人の得意なプレーについて青峰、若松、桜井ら一周目の記憶なし組にざっと説明するゴールド。
 それを聞き流しながら花宮が桃井に言った。
「PGの彼はどんな人か分かる?」
「ゴッグ・ブラウン。ロサンゼルス生まれ。バスケットボールの名門として知られている高校に在学していたもののドロップアウトしたことになってますね」
 桃井はさすが有能なマネージャーだけあってそつなく答えた。
 あいつの情報網どうなってんだろうな。
 青峰仲間にすると必ず桃井がついてくるのは本当にでかいな。
 胸もでか…いやなんでもない。

 花宮がどうしても解剖したいと言ってきかないのでスターティングは今吉、青峰、若松、ゴールド、桜井。身体の厚みも幅も違う巨人どもに囲まれた桜井がかわいそうになってくる。
 全員がキセキ並みの実力者であるジャバウォックで二周目ではゴールドの代わりにPGをつとめている男、ブラウンはゴールドほど目立ちはしないがそれでも今吉を翻弄する程度の実力は備えている。
 最初から苦戦必至だ。
 青峰は目の色変えてシルバーとやり合ってたが、身体がついていけてない。
 高2の青峰と黄瀬の二人がかりで対抗していた強敵に一人で挑むのはむちゃだが、どうやらキセキは全員一周目の情報を持たずに二周目に来ているらしく青峰にはシルバーと対戦した記憶はない。
 記憶を引き継いで逆行してきたのは黒子と一度も味方になったことのない敵(かつ今吉の交友範囲内)という認識で問題なさそうだ。
「青峰くん、すごい汗……!大丈夫…?」
「そんな不安そうな目で見んじゃねーよさつき。あ、おい良?」
 第1Qに出ていた桜井がいつの間にか顔面蒼白になっている。
「止められなくてすいません。シュートも打てないし、すいません生きてて」
 桜井は今にも泣きそうだ。
 オレの図太さを少し分けてやれたらいいんだが、図太さとか影の薄さって自分でどうこう出来るもんじゃねえしなぁ。
「よく頑張ってくれました。敵は花宮くんが取りますから安心して休んでください。花宮くん、第2Qからは出てもらいますよ」
「オレまだ解剖が終わっていませんので、代わりに黛出してもらっていいですか?」
(オレかよ!)
「……いいでしょう」
 国内のチームとの試合にはなかなか出してもらえないので調整が難しい。
 オレのプレースタイルは秘密だけどジャバウォック相手なら解禁しても問題はない。
 キセキの世代が後で戦う時に困ろうがそんなことはオレの知ったことじゃねえし。
「うーん、黛、自分に視線集めることとか出来ひんの?」
「無理だな。ミスディレクションオーバーフローは自分でやろうとしてやる技じゃねえから」
 ド派手な技でみんなの注目の的になれば別だが、オレそんなに派手な技ないしなぁ。
 タップパスはわりとモーションでかくて黒子のパスより目立ちやすいらしかった。
 ゴールドに「オレの予備動作なしのパスにその動きじゃ遅えしすぐ対応されるからもっとコンパクトにパッと出せ」とか口を酸っぱくして言われて特訓したのを思い出す。
「じゃあポジション入れ替えやな。ゴールドがPG、ワシSG、黛SFでどない?」
「お前がSGでニックのマークはいいとして、黛にボール回しやらせりゃ影の薄さはすぐ消えるだろ。影の薄さが完全に消える前、ついたり消えたりしている時が一番見えづれえし集中しづれえ。同じタイプと戦ったことなけりゃあそう簡単には対処できねえはずだ。その動揺をついて取り返す」
「具体的には?」
「オレがシルバーを抑えといてやるから青峰にパスを回して点を取れ。それが現時点で最も計算出来るプランだろう」
「よっしゃあ!」
 若松がでかい声で気合いを入れている。
 一周目、青峰が一年の頃は抑えがきかなくて若松は青峰に暴力をふるわれたり大変だったらしいのだが、今回は青峰もワンオンワンでは負け越しているゴールドが同じチームにいるせいか真面目にやっているから部内で暴力沙汰とかしゃれにならない事態は起きていない。
 問題は……オレがボール回すのはきつい。
 つうか無理。
 まあオレ赤司が入部して追い抜かれるまで実はPGだったんだがいくらパスが得意でも無理。
 どう考えたって無理だろ。
 黄瀬ですら途中からは通じなかったんだぞ?
 ましてやオレがボール持って注目集めちまったら全員キセキ並みの化け物に歯が立つ訳ねえだろ。
 かといってゴールドはシルバー抑えるのに手一杯でボールを回す余裕はない。そもそもシルバーの方がでかいしな。
 今吉のボール回しは読まれて通りにくくなってるので花宮の解剖が終わるまで時間を稼ぎたい気持ちは分かるがそこでオレかよ。
 ボールに視線を集めればオレを意識させないようにすることは出来る。
 だが、近くにボールありゃ普通取るだろ。
 ボール取ってそいつは何をする?
 パスかシュートか……。
 パスコース空いてるのは誰だ。
 ドリブルしてボール取られないようにしながら周りに目を配るとか無理ゲーだろ……。
 ゴールドや赤司じゃあるまいし。
 オレにそんな特殊な目はねえし抜かれた一瞬の隙を突いてスティールするしかないか。
 出来るか?
 一発で成功させなきゃ警戒されるし次はチャンスがもう来ないかもしれない。
 感覚を研ぎ澄ませ。
 赤司にゾーンに入れてもらった時のことを思い出せ。
 ゾーン状態なら一瞬の隙を突けるかもしれない。
 いや、かもしれないじゃねえ、やるんだ。
  
 ここまで一瞬で考え、ボールだけに視線を集めて姿を消すことに集中する。
 バニシングドライブってのはこの原理でやってたのか答え合わせは不可能だが、似たものにはなったはずだ。
 直後、青峰がマークを外してフリーになる。
 青峰にパスを通して青峰のド派手なサーカスシュートが決まるとオレはほう、と息をついた。
 今のはスティールされなかったからパス出来たが、オレの姿を見失ったことでジャバウォックは動揺でもしたのか。
 第2Q、幻の六人目黛(オレ)が機能して青峰にボールを集め、点を取るも青峰にダブルチームがつく。
 まあ未知のタイプの敵であるオレへの対処方法を思いつかないなら得点源の方をなんとかしようと考えるのは当然の反応だ。そうなるよな……。
 青峰へのダブルチームでマークがあいたのは今吉。じゃあ今吉にボール集めりゃいいじゃねえかと思うけどさすがにそのラインは警戒されてるしパスコースがない。
 と、シルバーの戻り遅くてゴールドが一瞬フリーになったのでゴールドを経由して今吉へ。
 今吉がフリーで3Pを決め、ここで第2Q終了。

 第3Qが始まるまでの休憩時間中、チームメイトから質問の集中砲火を浴びた。 
「黛、お前ゾーン入っとるやん」 
「そういえば黛はゾーンに入れるんですよね」
 WC決勝の記憶を引き継いでいる同中腹黒コンビが口火を切ると、
「ゾーンってなんですか?あああ自分なんかが聞いちゃってすいません」
「深い集中の先にある新しい自分への扉っていうかそんな感じのがあって、その扉を開けると異次元の新しい自分への道が開くんだよ。ラノベ風に言うと異世界召喚ものというか」
 オレは桜井の疑問に真面目に答えてやった。
「ラノベって!オメー真面目に言えよ」
 真面目に答えたのに若松には怒られた。
 解せぬ。
「赤司くんの究極のパスなら味方をゾーン状態に出来るよな?黛もパス職人ならそのくらいやってくれてもええんやで」
「出来ないとは言わせない。根武谷の時だって出来てたからね」
 赤司の究極のパスをオレが中継して根武谷にパスしたら根武谷もゾーン入りした時のことを同中腹黒コンビは言っている。
 あれは赤司の究極のパスの力をそのまま伝達しただけでオレの力じゃないんだが……。
 言って見れば、偉い先生に書いてもらった完璧な手本を臨書したら書道展に入賞したようなもので、入賞という結果だけ見ればオレがすごいように見える(そして誰もが入賞出来る訳ではない)のは確かだが、手本がないと自力では書けないみたいなものだ。
「根武谷さん?去年の洛山戦の話ですか?」
 桜井がキョトンとする。
 バスケやってる男子高校生のくせに女子力高いし敬語だしあざといなあ。
 生意気な後輩しかいなかったオレの人生で初めてのかわいい後輩だ。
 自虐的なのがたまにちょっとうざいけど、美味いレモンの蜂蜜漬け作って持ってきてくれるし本当に桜井はいい奴だ。
 黒子とまともに対戦した敵じゃないことから一周目の記憶を引き継いではいないが、オレはこいつを嫌いじゃない。
「ゾーンってのは一握りの天才だけが入れるもんなんじゃねえのか。黛でも入れるだけでなく他の奴まで入れられるのかよ……だったらなんでオレをゾーンに入れねえんだ」
 一周目の記憶は引き継いでいるが、オレがゾーン入りしたWC決勝を見てはいないゴールドは不機嫌に言った。
「ゾーン入りの条件がオレにもよくはわかんねえだけ。だが、特別な天才じゃなくても入れるはずだ。じゃないとオレが入れる説明がつかないだろ。ただ、ゾーン状態は5分とかそんくらいしかもたないはずだから後半ずっとなんて絶対無理だ。体力ゲージがなくなっちまう。あと影の薄さもそろそろ切れる頃合いだ」
 オレが不安材料を列挙すると黙って聞いていた監督がまとめた。
「黛くんにもう一働きしてもらうためには一度下げないとダメってことですね。ならば前半丸々解剖に使ったのだからそろそろ花宮くんに働いてもらう時間ですね。今吉くんは大丈夫ですか?」
 前半でずっぱりだったことに加え、厳しいマークにあっていた今吉は相当疲弊していそうではある。
「ワシは大丈夫です」
「では黛くんと花宮くん交代で。ボール回しは花宮くんお願いします」
 誰がボール回すかでチームの動きがガラッと変わるのは対処しづらそうだ。
 まして花宮は頭脳キャラだし隙がない。
 青峰のことはあまり得意でないのか青峰との連携にちょっと難あるようだがスティールが冴え渡っているし、点も取れている。
 ここで緊急事態発生。
 青峰がシルバーのラフプレーで怪我をした。
 この練習試合は青峰のために組んだようなものなのに青峰が怪我したら意味ない。
 シルバーは一周目でも紫原に怪我させてたよな……。
 せめてオレがコート内にいればミスディレクションでどうにかなったかもしれないが、残念ながらベンチから出来ることはなにもない。
 青峰の代わりになんてなれっこないが、久しぶりにPFとして試合に出たオレは花宮のスティールのアシストやスクリーンを地道にこなす。
 見えたり見えなかったりする絶妙な影の薄さをキープするのはかなり面倒だが、これが出来なければオレがコートにいる意味はない。
 特性が消えたオレと桜井なら桜井の方が点取れる可能性はまだ高いしな。
 ボールの縫い目まで気にして最適のパスを出すとか常人離れした神業だが、取りやすい高さを心掛けてパスを出した先で今吉が糸目を大きく見開いた。
 キャッチアンドシュートで難なく3Pを決めて見せた今吉は不気味に笑った。
「……入ってもうたわ」
 今吉の黒い目が異様な光を放っている。
 まさか、これが今吉のゾーン?
 なんつうか……見た目が完全に悪役だな。
 オレはギリ正義陣営でもおかしくない見た目だと自負してるけど今吉は無理だろ。
 人相が悪すぎる。
「オレにもパスよこせ」
 監督から聞こえないところにいるからってネコかぶりを放棄して要求を突きつける花宮。
 キセキとかオレや今吉は髪の色と目の色は同じ色している。だから目からビームが出ても髪の色基準なのか目の色基準なのかよく分からん訳だが花宮は黒髪に黄色みが強いヘーゼルカラーの目をしているから何色のビームが出るんだろうな?
「パスがほしけりゃちゃんといいとこにいるんだな。いいとこにいればオレが回してやるよ」
 オレが言い返すと花宮はあからさまに嫌そうな顔をした。
「お前の言い方どこぞの18禁小説みたいだな。あいにくオレにはそういう趣味はねえんだよ」
「失礼な奴だな、オレだってそういう趣味なんかねえよ」
「黛の言い方が時々妙な気がしてたのはオレの気のせいじゃなかったんだな」
 エースが故障した非常事態にこれだけ軽口たたけりゃ十分だろ。
 若松をゾーンに入れてやると火神並みの身体能力と機動力が生きてくる。
 今吉は人の心を読んでるとしか思えないプレーで常に敵チームにストレス与え続けているし、問題はゴールドと花宮だな。
 バスケを好きじゃなければゾーンに入れねえという説をどっかで聞いた気がするんだが、あの二人には果たしてゾーンに入る資格があるのか……?
 特に無冠の五将でゾーンに入ってないの花宮だけなんだよな……。
 ラフプレーは二周目では封印しているし一周目の花宮とは違うからたぶん入れると思うが……。
 迷いイコール雑念。
 チッ。まずい、オレのゾーンがもう解けちまった。
 オレがいい加減ガス欠と見た監督によって桜井と交代させられる。
 ゾーン入りした今吉、若松とベンチで休んで体力回復した桜井を手足のように使役したゴールドがベリアルアイを上手いこと使ってからくも勝利を手にした桐皇だったが課題の残る練習試合ではあった。
 一周目の青峰はそろそろゾーン入りしてたはずなのにシルバーとの対決でもゾーンに入る様子が見られなかったこと。
 能力的には十分ゾーンに入れてもおかしくないはずのゴールドと花宮がとうとう最後までゾーン入り出来なかったこと。
 本当はベリアルアイを持つゴールドが究極のパスまで使いこなせれば鬼に金棒なんだが、あいつは予備動作なしのパスに強いこだわりを持っていてパスがちょっと乱暴というか、敵に読ませないパスではあるが究極のパスとは方向性が真逆というか性質がほど遠いんだよな。
 ゴールドがそんなになんでも出来ちまったらオレらの存在価値なくなるからまあいいんだけど。
「秀徳から練習試合のお誘いが来ていましたが青峰くんの怪我の状態を伏せておきたいのでお断りしましょうか」
 貴重な練習試合だが、このチーム事情ではさすがに受けられないだろう。
 同格のキセキ相手となれば青峰がおとなしくしていられると思えないしオレの能力もバレたくない。
 青峰の怪我は本番までには治るといいが……いずれにせよ、オレ達のやることは一つ。
 個々の力をレベルアップさせた上でその力を掛け算して相乗効果で最大限に発揮した力でもって敵チームを全部倒す。
 逆行して二回目の夏がまもなく始まろうとしていた。







 

 後書き

 2020花宮誕に投稿した話の後書きで、新シリーズは黛in桐皇、花宮in桐皇を書きたいと決意表明していたのがこの話です。
 早いものでもう一年経ってる……。
 この話の個人的な見所は黛さんの視線誘導を一試合ずっと使わせるのは無理なので、試合に出したりベンチに下げたり交代戦術駆使しつつ影の薄さの調整をはかるとか黛さんの使いどころを考えた投入方法を考えた点です。
 洛山も戦略に合わせて積極的に交代戦術使えばいいのになんで誠凛ばっかり交代してるの……?
 黛さん幻の六人目なのにずっと出てるのウケる、いったん下げて影の薄さ復活させようよ、赤司くんや白金監督が無能に見えちゃうよもっと戦略考えて!とかいろいろツッコミを入れながら原作を読んでた人間なので、黛さんも幻の六人目らしく出たり引っ込んだりする話を書けて満足してます。
 顔キャラが最低限このくらいの人数いないと幅広い交代戦術は使えないですよね。
 ナッシュが今吉さんに従ってる理由は、ナッシュと今吉さんでポーカーか何かやった後でこいつテレパスか…?ってナッシュが不審がってるところにワシ超能力者でもなんでもあらへんでとか言われて気味悪いからおとなしくしとこうぐらいな感じかと妄想しましたが入れるとこありませんでした。
 腐向けにしないつもりで書いたのでちゃんと健全に仕上がっているかドキドキしております。
 花宮くんのお誕生日ネタ入れられなかったのが心残りですが、キセキ全員に勝った後の時空なら親密度上がって和気あいあいとしているのか意外と殺伐としたままなのか、そのへんはご想像におまかせしたいと思います。
 ナッシュと花宮くんはゾーンに入れなくても十分強いので伸び代を残す意味では今回ゾーン入り出来なくてもまあいいかなあと思ったり、ナッシュがいるとはいえゾーン入り出来なくてもジャバウォックに勝っちゃうのはやりすぎかなとも思ったり。
 ご感想などいただけたら嬉しいです。
 マイペースに気まぐれ更新ですが今年もよろしくお願いします。
 ここまでお読み下さりありがとうございました。
 

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