バスケ漫画小説(年齢制限なし)
逆行した黛in誠凛がIH予選で正邦と戦う話
逆行した黛さんが一周目の知識を持った状態かつ年齢差は原作通りだけど一年留年した後で洛山から誠凛に転校してきたという捏造設定。
そのため、本来なら高三の年齢にも関わらず日向くん達と同じ誠凛の二年生。背番号は黒子が入部しなかったため11。ポジションはSFにコンバート済み。
捏造設定が山盛り過ぎて過積載もいいところですが大丈夫な方だけどうぞお進みください。
オレは元洛山高校三年、バスケ部所属の黛千尋。
逆行してこの世界に来た時、一度留年していたことから現在誠凛高校二年生。本当なら高三なんだがな。
この世界はオレの一周目の記憶とはいろいろ違っていて、まず黒子が誠凛に入学していない。
あいつがバスケ部に入部しなかったから、影が薄いだけにあるいは見落としているのかもしれないと思い、一年生の中ではまあまあ話しかけやすかった降旗に言って一年生のクラス分け表を持って来させて何回も確認したからたしかだ。
黒子は誠凛に入学していない。
黒子が誠凛にいないということは黄瀬が黒子に会いに突撃してくるとかいうイベントも発生しないので誠凛対海常の練習試合の結末も変わった。
本来なら火神は「勝てないぐらいがちょうどいい」という名言を言ったり、黒子のパスからのアリウープがあって誠凛の勝利になったはずなのだが、その辺全部カットでオレのブザービーターで決着がついたし。だってオレ火神とアリウープの練習なんてしたことないし、ぶっつけ本番で出来るかわかんねえのにやる訳いかねえだろ。
あと一周目の笠松から聞いてたのは、黒子・火神と黄瀬が練習試合の後で不良と勝手にバスケの勝負をしたとかあったらしいんだが、オレは黒子と行動パターンが違うから不良と遭遇なんてしてない。
黄瀬は一周目ではたぶん黒子に会いにきたんだろうから同じ中学出身の黒子に会うためでなければ、わざわざ校外へ出ることもなくオレと会ったりもするはずがない。
火神はステーキ食った後で勝手に単独行動取ってどっかへ行ってたから相田にプロレス技かけられてたけどな。
オレの武器はミドルシュート、赤司直伝のパス、あと影の薄さを生かしたスティール。黒子はスクリーン上手かったしオレも同じぐらいには出来るようになっておかないと勝ち進めないだろうからスキルアップを心がけ、あっという間にIH予選準決勝。
準決勝の相手は東京都三大王者の一角、正邦。
勝てば決勝の相手はやはり三大王者の一角でキセキの世代ナンバーワンシューターの緑間がいる秀徳。
正邦はオレの在学中に洛山と対戦しているからオレ自身は試合に出てはいなかったがどんなスタイルのバスケなのかぐらいは知っている。
……決して勝てない相手じゃない。
それより、次の秀徳が問題じゃね?
一周目の赤司から聞いたんだが、おは朝上位の時の緑間はマジですごいらしい。
ジャバウォック対ヴォーパルソードの試合の日も緑間はフルでは出てないのに見事得点王取ったが、蟹座一位の日でラッキーアイテムのリモコンを会場に持ち込んでたからかもと赤司が真顔で言ってたので後で録画を見たらベンチにリモコン置いてあって吹いたのは記憶に新しい。
準決勝、試合直前。
「うっわマジ髪赤ぇ〜!こええ〜!」
坊主頭の男が火神を指さしてでかい声で言った。
ん?こいつは去年はいなかったな、正邦の新しいベンチ入りメンバーか。
「主将ーー!こいつですよね。誠凛超弱いけど一人すごいの入ったって」
坊主頭の奴の無神経な発言に相田も日向もかなり怒っている、無理もない。
騒がしい坊主頭の男は正邦の主将に引きずられていった。
つーか、正邦の主将も言いたい放題だな。
「すまんな。コイツは空気読めないから本音がすぐに出る」
とか。お前それで謝ってるつもりか…?
去年はまだ転校してくる前で直接の当事者じゃないオレでも不愉快だった。
あいつら絶対ぶっつぶす。
控室では相田が、
「次の試合に勝ったらみんなのホッペにチューしてあげる!どうだ!!ウフッ」
とか言い出してリアクションに困ったけど、日向の檄でみんなやる気出していた。
日向は主要校では霧崎第一と誠凛くらいしか見当たらない二年生主将だけど人心掌握たいしたもんだな。
スターティングメンバーは
4 SG日向
5 PG伊月
8 C水戸部
10 PF火神
11 SF黛
という布陣だ。
正邦のDFは全員マンツーマン。
こっちは火神が10番の坊主頭に密着DFされて普段の力を出せず、早くもファウル二つ。
オレは思わず舌打ちして伊月に言った。
「チッ、何やってんだ。冷静に周りを見てパスするのがお前の持ち味だろう?熱くなってるバカにボール集めてどうするよ。オレだってフォワードだぞ、困ったらたまにはオレを頼れよ」
たまにはとしか言えないのはひとえにオレの実績の少なさゆえだ。
オレ、予選であんまり点取ってないしな。
「黛?!……冷静にパス…いたしますですましたい…キタコレ!」
どこがキテるんだかさっぱり分からん。
伊月がダジャレ一つも言わないってそもそも異常だよな。お前普段回文なんか言わないだろ。
コイツの長所はみんなが熱くなってる時でもさめてて冷静に視野を広く持ってるとこなのに。
まあオレがよく知ってるのはWC時の誠凛なので、この頃はまだ発展途上ってことなのか。
「正邦は古武術を応用した動きをしてるが消えたり飛んだりする訳じゃねえし、やってることは同じバスケだ。オレちょっと見えずらくなるけど視野を広くすれば見えるから慌てずにパスよこせよ」
むしろ消えるのはオレと旧型の専売特許だ。
「えっ?」
日向がびっくりしてるけど正邦の奴も聞いてるところでネタバレする訳にいかねえし放置だ。
今まで我慢していたが12対0で未だに1点も取れない状況ではオレが点取るかミスディレクション解禁するかしないと手詰まりだ。
伊月からのパス。
オレはDFの奴の視線を火神に誘導し、オレを意識から消えさせる。
火神はやっぱり誠凛で一番警戒されている男だから火神への視線誘導はだいぶやりやすい。
オレの一番得意な距離。
すっぽんみたいなディフェンスでもっとも手強い坊主頭の奴は火神のマークだし、行けるだろう。
誠凛の初得点は平凡なオレのミドルシュートだった。
「伊月センパイ…ボール回してもらえないすか」
何か決意したような様子の火神が伊月に頼んでいる。
「え?」
伊月はチラッとオレを見た。
さっきオレによこせって言ったばかりだからどっち優先したらいいか困ったのだろう。
「……エースは火神なんだしいいんじゃねえの、火神で。困ったらさっきみたいにオレに回せばオレがなんとかしてやるよ」
けど……。
火神の奴、ファウル多いな。
誠凛がいまいち波に乗れないのはファウルトラブルのせいだな。
誠凛対洛山の時、火神の調子がこんなんだったら絶対洛山が勝ってただろうに。
ついに火神のファウルが四つになると、相田は火神とオレを下げようと動きだした。
「チッ、なんでオレまで……」
思わず舌打ちしたオレに日向が言った。
「最初から決めてたからな、お前ら二人は前半までだって」
そういう大事なことは先に言っておけよ。
「そんななんでだよ…ですか!」
火神はだいぶ混乱している。
「理由の一つは緑間を倒せるのはお前らしかいないからだ。もしこの試合勝ったとしても消耗したお前らじゃ次の秀徳に勝てない。それに去年の雪辱戦は去年のメンバーで勝たなきゃ意味がない。とどのつまりはそういうことだよ」
オレと火神は土田、小金井と交代でベンチへ下がったが、チームオフェンスで点を取る形は火神が抜けても案外安定している。
オレには正直言って火神がいるパターンしか印象に残ってなかったけど、去年の決勝リーグで敗退してから、誠凛の二年生達は地道にこの攻撃パターンも磨いてきたらしい。
と、ルーズボールを取ろうとしてむちゃした小金井が脳震盪起こしたので急遽誰か代わりに出ることになった。
「じゃあオレを出してくれ!…ださい!」
火神……お前、敬語下手すぎか。
「何言ってんだオマエはダメだ」
4ファウルの奴を出す訳ねえだろ。
「はあ?あの坊主にまたファウルしたら即退場じゃねえか。4ファウルの奴はすっこんでろ」
オレがずいっと前に出ると日向が言った。
「分かった、じゃ津川は頼むぞ、黛」
津川ってあの坊主か……ちょっと面倒くさいけど、まあ任されたからにはやってやるさ。
「あっれ…!?てっきり火神が出ると思ったのに誰?補欠?」
交代でコートに入った途端、火神を苦しめてくれた例の津川に補欠って言われてオレはぶち切れそうになった。
「誰が補欠だよ。さっき前半出て、誠凛の初得点を取ってたたろうが。黛だ」
「黛?火神とやりたかったんだけどなー」
これはオレを怒らせる作戦かもしれないから怒っちゃダメだ。
なんとか平静を保つとオレは言った。
「火神の借りはオレが返してやるよ。これでも一応先輩なんでな」
「ええー、先輩?さっき火神とセットで下げられてたじゃん。ウケるー」
オレこいつ嫌いだ。
絶対ぶっ倒す。
「……」
闘志は内に秘めろ。
顔に出すな。
お前はすぐ表情に出すのが悪いところだ。
一周目の赤司に言われたことを頭の中に思い浮かべる。あいつも大概生意気な後輩だったけどここまで失礼じゃねえしまだたいしたことなかったんだなと思う。
オレはボールに視線を誘導した。
火神がいない今、一番注目を集めやすいのはボールだろう。
オレはマークを外すとするりと移動した。
伊月→オレ→日向にボールが渡り、3Pで差を詰める。
っていうか、前半は味方がマークを外せずパスコースがなかったからオレが自分でシュートするしかなかったけど、だんだんマーク外せるようになってきてんな。
それならミスディレクションはいったん封印だ。次の対戦相手の秀徳にヒントをやる必要はねえ。
オレが影の薄さを利用してスティールしてからの水戸部へのパスでインサイドへのパス供給も容易になっていることが明らかなので割り切って普通のSFに徹すると正邦はオールコートマンツーマンで勝負を賭けてきた。
得点差はわずか一点。
水戸部がスクリーンで作ったチャンス。
「見とれちゃうぜ水戸部ナイス!」
とか言いながら伊月が抜く。
オレが一瞬マークを外してフリーになる。
よし、ボール来た!
日向がフリーになるのも見えた。
オレの視線で分かったのかマークしていた坊主頭の10番が日向へのパスコースをふさぐようブロックに飛ぶ。
オレは10番をあざ笑うように笑ってミドルシュートを決めた。
ここで試合終了。
海常との練習試合以来のブザービーターだった。
「…名前教えてよ!」
坊主頭の奴に粘着されオレはいらっとしながら言った。
「さっき名乗ったろ」
「忘れたからもう一回教えて」
「はあ?知るか。メンバー表見なかったお前が悪い」
オレが塩対応して整列を済ませ、相田に断って便所へ行くとそこには秀徳の高尾がいた。
「あ、誠凛さん。次の試合よろしくでっす」
言ってることはいたって普通だけど、後ろ向きで鏡に映ったオレに反応してこんなこと言う奴は赤司くらいしかいなかったぞ。
やっぱり鷹の眼侮れねえ。
一緒にいた小金井も驚いている。
秀徳にはこいつの鷹の眼があるからミスディレクションは効果が薄いしどう立ち回るかな……。
やっぱりパスも回せる普通のSFか?
オレは頭を悩ませていた。
【続く?】
仮にこの話が続いた場合、緑間くんとの接点が何もないまま秀徳戦がスタートしてしまう……。
黛さんあまり積極的に味方とコミュニケーション取るタイプではなさそうなので情報共有に難がありそう。
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