また会える日まで
よん
***
俺が目を覚ました時間にはもう夜の11時になってしまっていたらしい。
「飯、食べるか?」
「ごはん?うん。食べる。せ、――…波留、作ってくれんの?」
波留が冷蔵庫を開けて中を覗く。
「なんもねーな。」
パタンと冷蔵庫を閉めた。
「……買いに行くか。」
「作る?」
「……カップラーメンがいい?」
「いや、健康的な食べ物が食べたい。」
「……わかった。」
苦笑しつつ波留は大翔の注文を受けた。
「お前、親に連絡ぐらいはしとけよ」
「親、いない。」
「……悪いこときいたな。」
「違う。親は旅行中。」
「………。」
気づかった俺の気持ちを返せとか波留は思ったが、口には出さなかった。
「………?」
「……そうか。心配するだろうから連絡はしとけよ。」
「うん。買い物ついてく。」
「え?ついてくんの?」
「うん」
「コンビニすぐこのマンションの横だけど。」
「うん。」
「ついてきてもお菓子とかかわないから」
「は?」
「ん?」
「いーから。俺ついてく。」
「えー、なんで。」
顔を困らせていう先生も可愛い。
コンビニに行きたいっていうのは別に意味はない。
ただ、波留先生、波留との時間を少しでも増やしたいからついていくだけ。
でも波留の知らないいろいろな表情を見れるなら面白いなあと思ってきて、波留を観察しに行こうかと思った。
「観察。」
「なにを?」
「いろいろ」
***
しぶしぶと了承をもらって、波留とぶらぶらコンビニにまでやってきた。
なにをそんなについてきてほしくなかったのかなー。
「なに食べたい?」
波留がコンビニのカゴを取ってきた。
コンビニにカゴなんかあったんだ。
「オムライス…」
「オムライス?」
「うん。オムライス。」
「……んーまあ、作れるか。わかった。」
少し考えてから波留が答え、「卵あったかなー……」とかいいながら、別のコーナーへと行ってしまった。
お菓子コーナーでじっとお菓子を見つめながら新商品はないかと探した。
あ…これ……見たことない。
大翔が手にとったのは"期間限定!!"と書かれたチョコレート。
「………。」
無言で立ち去り、波留の元へと向かった。
「うわっ」
「………。」
「びっくりしたー。急に後ろから現れんなよ。」
「…………。」
じーと、波留の顔を見る。
「…な、なに?」
大翔はそのまま波留を後ろから抱きついた。
「うわっ、ちょっ!お前っっ!!」
「俺の名前は大翔、」
「わかったから!大翔、ここ、コンビニ!」
「…………」
「っ、おい!」
10秒間くらい後ろから抱きついた状態で静止してぱっと離れた。
「なんでそんなに真っ赤なの?」
「……だ、だから、おとこが男に抱きつくのはおかしいだろ!」
「なんで?」
「……だからっ!………」
といいかけて言葉をつまらせる。
波留は考えた。
熱も下がったばかりで甘えているだけじゃないのかと。
別にこれくらい、これごときでなぜ戸惑っているのか。
自分が赤くなっているのが馬鹿らしくなった。
しかし、だいたい俺はバイだ。
自分より高い身長で、こんなイケメンに抱きつかれたらこんなことにもなる。
とか思いながらレジへと進む。
店員さんがバーコードを読み取っているのをふたりは無言で見つめていた。
「………。」
「…………。」
「……あ!ちょっと待ってください。」
カゴの中に入れた記憶のないものがひとつ。
「これ、」
大翔に見えるようにそれをカゴから取り出す。
「……見つからないと思ったんだけどなー。」
「いや、レジで会計するからどうせ最後にバレるだろ」
たぶんさっき抱きつかれてあたふたしてる間にカゴに入れられたんだろう。
「買って?俺チョコレート大好き」
「……だから?」
「買って」
「お菓子買わないって言っただろ」
「でも……」
しゅん、となっている大翔がなんだか小さい子供に見えてきて、思わずOKを出してしまった。
子供には弱い。
「…はー、しゃーねーな、」
そんな顔を見ると子供に弱すぎる俺は結局買ってしまうもんだから困ったものだ。
いや、一番困っていたのは、そのやりとりが終わるのを待っていた店員さんである。
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今さらなんですけど、
視点がごちゃっとしてるきがするんで、読みにくかったら、拍手とかでいってください。
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