[携帯モード] [URL送信]
第2話:古の精霊

 鏡に映る私。

 その胸元に掛かった銀の指輪が、朝日に照らされて虹色に光っている。

 そっと指で撫でると、何故か心が甘く疼いた。


 第2話 古の精霊


 先日の死神騒動から数日が過ぎた今朝。コウはあの不可解にも侵入した人物を思い出していた。

 彼は何者だったのか、本人からは一切聞かされていない。

 月光浴から帰ったカルロに聞いても、ただ動揺しているだけで何も教えてはくれなかった。

 この指輪は、死神から身を守る為の物だ。あの人は薬指に付けないと効力が失われると言っていたが、やはりかなりの抵抗があった。

 あれからもの凄く悩みに悩んで出した結論は、リングをペンダントにしてしまう、という事。もし死神が来たら、その時リングをはめればいいんだという事に気づいた私は、少し心の荷が下りたような気がした。

「分からない事が沢山あるっていうのは分かってたけど、これじゃ全然前に進めないよ」

 コウは一人小さく呟いた。

 何も分からない自分に少しの苛立ちを含めて。



←前へ次へ→

5/19ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!