第2話:古の精霊 鏡に映る私。 その胸元に掛かった銀の指輪が、朝日に照らされて虹色に光っている。 そっと指で撫でると、何故か心が甘く疼いた。 第2話 古の精霊 先日の死神騒動から数日が過ぎた今朝。コウはあの不可解にも侵入した人物を思い出していた。 彼は何者だったのか、本人からは一切聞かされていない。 月光浴から帰ったカルロに聞いても、ただ動揺しているだけで何も教えてはくれなかった。 この指輪は、死神から身を守る為の物だ。あの人は薬指に付けないと効力が失われると言っていたが、やはりかなりの抵抗があった。 あれからもの凄く悩みに悩んで出した結論は、リングをペンダントにしてしまう、という事。もし死神が来たら、その時リングをはめればいいんだという事に気づいた私は、少し心の荷が下りたような気がした。 「分からない事が沢山あるっていうのは分かってたけど、これじゃ全然前に進めないよ」 コウは一人小さく呟いた。 何も分からない自分に少しの苛立ちを含めて。 ←前へ|次へ→ [戻る] |