長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その35〜硫ちゃんの御両親〜
「全く…何てお人好しな子なのかしら…」
硫ちゃんのお母さんは、眉を八の字に下げ大きな溜め息を一つ吐くと、僕の頭を撫でながら渋々、硫ちゃんの同席を了承してくれた。
リビングに着くと、テーブルの上では大きな和食器に盛り付けられた、肉じゃがが実に食欲をそそる匂いを放っていた。
そして、目の前には銀鱈のみりん焼きと、優しい湯気を立ち上らせる御味噌汁。
僕と硫ちゃんが並んで座ると、硫ちゃんのお母さんは漆塗りが美しい光沢を放つ`おひつ'から、僕達の御飯をよそってくれた。
「「「いただきます♪」」」
食べ物に三人で手を合わせると同時に、突然僕の隣に座っていた硫ちゃんの体が宙に浮き、やや遅れ気味に初めて耳にする男性の大声が部屋に谺した。
「ただいま〜♪硫ちゃ〜ん♪」
「や…止めろ!!
このっ……馬鹿親父!!」
バカオヤジ…って事は、この人が硫ちゃんのお父さん?
顔を赤くしながらジタバタする硫ちゃんを、背後から抱え上げた人物に僕は下から目を向けた。
すると、その人物は途端に子供が驚いた時の様に目丸くし、僕の傍にしゃがみ込むとまるで何か珍しい物でも見つけた様に、僕の顔を凝視してきた。
「こ、こ、こんばんわ…」
「君…ウチの硫ちゃんの友達!?」
「は、はい、クラスメートです…相沢 勇輝と、言います……」
「…超可愛い…/////」
「…はい!?」
――――ガッ!!
「んがっ〜〜〜〜!!」
一言発する度に近付いて来る、硫ちゃんパパの整った顔は、僕の背後から伸びてきた手に因って、いきなり鷲掴みにされた。
驚いて背後を振り返る僕の視界には、鬼の形相をした硫ちゃんママ…。
「…オマエ等親子は……。
揃いも揃って何さらしとるんな…」
身長180pはある、男性の顔面を片手で鷲掴みにし、天高く持ち上げる硫ちゃんママ。
その顔は正に悪鬼羅刹………。
全身から立ち上る、怒りの波動が目視出来そうです…ハイ。
「大事するけぇのぉ…」
この技を観るのは、本日二度目です。ハイ。
ってゆーかこっちが本家本元?
ってゆーか何で広島弁?
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