長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】 その34 「りゅ…硫…ちゃん?」 何で僕は押し倒されてんの? ってゆーか硫ちゃんの顔が超近いんですけど…。 ま…まさか… 「…まさか…硫ちゃんって男が…好きな人…だったり…したりして…?」 脳裏に浮かんだ、不安を口にした僕に硫ちゃんは微笑みつつ、とんでもない事を言いだした。 「当然女の人の方が好きだよ? …でも勇ちゃんなら女の人よりも好きかも…」 な…何ですとー!!!! 「りゅ…硫ちゃん… お願い…止めて……」 男同士の行為…。 過去の忌まわしい記憶がまざまざと脳裏に蘇り、額に巻かれた包帯に、嫌な汗がじっとりと染み出すのが分かる。 「勇ちゃん?」 僕の異変に気が付いた硫ちゃんは、顔を近付けるのを止めて不思議そうな顔をしている。 すると…… 「硫介ぇ――!!」 ――ガンっっっ!!!! さっきまで僕に覆い被さっていた硫ちゃんは、苦悶の表情で脇腹を押さえ、僕の横で転がっていた。 慌てて上半身を起こすと、そこには鬼の形相をした硫ちゃんのお母さんが… 「自分を助けてくれた恩人を襲うなんて…何考えてんの!? ……この馬鹿っっ!!」 ―――ドスっ!! 硫ちゃんのお母さんはツカツカと近付くと、もう一度硫ちゃんを蹴り上げた。 そして僕の傍にしゃがむと眉を下げ、心配そうな顔で優しく僕の頬を撫でてくれた。 「怖かったでしょう? ごめんね? 硫介はまた後で、きっちりシメておくから御飯食べて行ってね?」 「だ…大丈夫です…」 そう言って立ち上がり、リビングへ向かう硫ちゃんのお母さんと僕の後を、硫ちゃんがヨロヨロしながらついて来た。 …が、それに気が付いた硫ちゃんのお母さんは容赦無く言い放った。 「硫介、あなたは夕飯抜きよ……。 部屋で頭を冷やしてなさい……」 ガ―――ン!!!! という音が聞こえてきそうな程、ショックを隠す事が出来ない表情の硫ちゃん。 すっかり肩を落とし、トボトボ自室へ戻る硫ちゃんの姿に、何だか悲しくなって来た僕は、意を決して硫ちゃんのお母さんに訴えた。 「あ…あの…僕、硫ちゃんと一緒に食事したい…です…」 [*前へ][次へ#] [戻る] |