恋愛リアル ジュウ 「夏樹は俺のなんで!」 いつもより低めの声は、なぜか怒ってる。 その理由が何なのか知らないが、初めて見る敬吾の男らしい姿にドキドキしてしまった。 「俺とより、この先輩の方が良いのか?」 「ハァ?何それ?」 コイツいきなり何言ってんの? ってか、その前に他に言うことあるんじゃねぇ? 久々に敬吾に会えた喜びはあるけど、今の俺は頭の血管がブチ切れそうなほどイラついていた。 「夏樹!ごめん!!」 ちょうどその時、目の前に晃史の走る姿が見え、俺は軽く舌打ちした。 「こら、悠くん!夏樹に迷惑かけたらダメだろう?」 「…っだ、…はい!」 悠馬は、晃史が現れた事であからさまに緊張し、顔を赤らめたり青ざめたり。 それを不思議そうに見ながら、何かを言いたそうな敬吾。 こうやってコイツらが揃ったのを見ると、余計ムカつく! アーッ!!なんかいちいち面倒臭くなって来てきた! 「面倒だから俺が手っ取り早く説明するから。 まずコイツが晃史。 俺の最初の相手で、ヤルだけやってあっさり捨てた奴。んで、コイツは悠馬で俺のセフレだった奴。すっげぇ遊んでたくせに、今じゃあっさり晃史に落ちて『恋って良い』とかはしゃいじゃってる馬鹿。」 「もう、ずいぶんとひどい紹介だね。」 「えっ?…晃史さんが夏樹と??」 「あれ?言ってなかったかな?」 わざと嫌味を込めた紹介をし、少しだけ気分がスッキリする。 そのせいで二人の中が悪くなろうが、そんなの関係ねぇし。 「んで、こっちが俺より勉強を選ぶようなガリ勉野郎で、俺の彼氏。まだ1回しかヤッてないし、触っても来ないヘタレ男の敬吾。」 もちろん、敬吾も例外じゃなく、嫌味ったらしく紹介してやった。 「「彼氏!?」」 争いが起きそうだったハズの2人の声がハモる。 それを無視して、俺は話を続けた。 「良いか!もうお前らは俺に近づくな!!すっげぇ迷惑。お前らのノロケに付き合ってる暇はない!勝手にやってろ!!じゃあな。…敬吾、こっち」 「…えっ?あっ…あれ?」 頭が混乱し続けている敬吾をぐいっと引き寄せる。 晃史と悠馬は、俺が特定の相手に限定したのが信じられない様子で、俺達をポカンと見ている。 その隙に、もっと強く敬吾の腕を引っ張って、スタスタと家の中へ入っ て行った。 [前へ][次へ] [戻る] |