恋愛リアル キュウ −夏樹 Side− 「やっぱ恋って良いよなぁー!なぁ、聞いてる?」 「…うるせー、もう話かけるな。」 コイツに何度こう言ってやったんだろう…。 俺にはコイツに付き合う暇なんかねぇんだよ!! 「もしもし?お前のがマジうるさくて今にも殺しそうなんだけど。迷惑だから早く引き取れ!」 「ギャー!!何勝手に晃史さんに電話してんだよ!」 顔を青ざめて、お仕置きされるとかどうとか喚いている奴を1人残し、家のへと足を進めた。 聞いた時には、自分の耳すら疑った。 まさか俺がなれなかった『大事な人』っていうのが悠馬だったなんて。 複雑な心境にはなったけど、すぐに「あっそ」っとあっさり割り切れた。 今は2人がどうとかマジでどうでもいいし。 敬吾が『テスト終わるまで』って言ってやがったから、俺はそれまで我慢してやることに決めた。 仕方ねぇじゃん! 他の奴じゃ萎えるだけだし。 言い出した本人は、焦って何度か声かけたり連絡してきたりしたけど、それも全部無視。 そんなんだったら言わなきゃいいのに、馬鹿じゃねぇ? それに、…声とか聞いたら俺が我慢出来なくなるっつーの。 こっちはいろいろと考えてやってんだ!! だから、分かれよ…。 「マジで怖いんだって!あの人!!ねぇ、どうにかしてよー!」 「はっ?知らねぇし。」 それでもギューっと抱き着いてくる悠馬に、ブチ切れて、股間に蹴りを入れてやろうと構えたその時、背後から力強く腕を引きよせられ、もっと強い力で誰かに抱きしめられた。 [前へ][次へ] [戻る] |