蒼月の光 003 『あるけど……』 「マルコ!!」 ちょいちょい、と手招き。 すると、怪訝そうな表情で屋台の前に姿を見せる。 「食ってみろよ」 「よぃ」 エースは、女から渡された果物をマルコに渡す。 マルコは躊躇いなく、果物を口に含む。 「うめェ!!」 「だろ?これ食ったら、他の奴食えねェ」 その言葉に、女は安堵の溜息を吐いた。 「けど、ここにあるだけじゃ足りねェよぃ」 「だよな(--;)」 困り果てた表情で、考えに耽る。 モビーディックには約1600人以上の乗組員がいる。 目の前にある果物全てを買い占めたとしても、足りないのだ。 だからと云って、他の店に……と目をやっても、はたしてこの味にありつくのだろうか。 それは広大な砂漠に落とした一粒の砂金を探す事より難しい、そう思えた。 そんな時、 『あの……』 「ん?」 『足りないなら、家に来る?』 「へ?」 こてり、と首を傾げて呟く女に、エースはきょとん、とした表情を向けた。 『ボクは構わないよ』 「マジか!!ありがてェ」 「エース?」 マルコは急に大声をあげたエースを見る。 「家にまだあるらしい」 「なら、人手を呼ぶよぃ」 マルコは電伝虫を取り出すと、人手を寄越すように連絡をする。 その間、エースは女と雑談を始めた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |