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雪月花


商店街は平日の昼間って事もあってか、主婦の方々で溢れていた。

この感じだと、今日はスーパーで特売か何かやってるのだろう。
おばちゃん達の両手には、かなりの量の買い物袋が下げられている。

そんなおばちゃんの群れの中に―――――

「あれ?」
「…あ」
俺が気が付くと同時に向こうも俺に気付いた様で、その人物もまた両手に大量の買い物袋を持ちながら、俺の元へと走り寄って来た。

「忍さん、今お帰りですか?」
「おぉ、テストで今日は学校も半日で終わりなんだ。
ユマッペこそ買い物か?まだ昼時だが…学校はどうした?」
そう、今俺の目の前に笑顔で立って居るのはご存知、浅葱邸の誇る家政婦・橘友真である。

ユマッペはいつもの服装で、いつもの様に買い物袋を両手にぶら下げている。

今日は普通に平日だろ?
俺達と同じくテスト期間ってワケでもなさそうだし…

「えへへ、今日は…寝坊しちゃって……」
言って、ユマッペは言葉を紡ぐ。
ユマッペが寝坊とな?
これまた珍しい事もあるもんだ。

「さては、サボりだな?」
如何にも、推理小説で犯人が解った時のように、勝ち誇った笑顔で言ってやる。

「えへ…ご名答です♪」
「やはりな。まぁ俺もしょっちゅうサボってる身、とやかく言える筋合いはないわ」
「あ…でも忍さん、どうして商店街の方に?
れいんさんは一緒じゃなくて?」
ユマッペは明らかに重そうな買い物袋を持ち直し、単刀直入に聞いてきた。
確かに、別に用事がなきゃ通る道でもないしな。
特別遊べるスポットでもないし。
せいぜい子供が喜びそうな店なんて、ここにはあってもおもちゃ屋くらいだ。

てか、俺とれいんがいつも一緒に居るみたいな言い方やめてくれない?
俺とれいんで1セットみたいな言い方やめてくれない?
別に良かろうよ、俺一人でも。

「いや、まぁ…ちょっと参考書を見に本屋にな。俺レベルにもわかるのがあれば良いんだが」
「なるほど♪」
と、大きく頷くと、ユマッペは一度呼吸を整え、
「あ…あの!もし忍さんさえ良かったら一緒に帰りませんか!?
これから丁度薫の所に行くつもりだったので!」

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あきゅろす。
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