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雪月花

このまま浅葱邸の話が弾み、奴等が更に興味を持って
「今から行こう」
なんて事になったら勉強所じゃなくなるのは明白だ。
ここらでお開きにしとくのが得策だろう。


「ま、そう言うワケだ。
とりあえず今日の所は俺は不参加だけど、楽しんで来てくれや」
「ちぇーっ、しょうがないか…」
と、どこか煮えきらなさそうな咲羅。
神童はと言うと、
「れいんちゅわん、俺こう見えてもUFOキャッチャーはなかなかの腕前でね。
欲しいモノがあったら取ってあげるからな」
「…」
「取ってあげるからな」
「…」

最早説明するまでもない。

「お前らは遊び呆けて赤点取ると良いよ、赤点。
じゃ、また明日な〜」
言って、俺は連中の反応を見る前に踵を返す。

再び俺の背中に声がかけられない所からすると、完全に諦めてくれたようだ。


さて、これで漸くおうちに帰れるってもんだぜ。
トボトボと歩きながら考える。

最後の頼みの綱だったれいんが連行されたのは、俺にとってかなりの痛手だ。
教えてもらう気満々だったのに。
自分で勉強しようにもなぁ…

流石に万能なユマっぺと言えどまだ中学生。
まさか高校の勉強が解るとも思えんし。

やはり自分でやるしかねぇかなぁ…
教科書見ても何がなんだかわかんないし、「猿にもわかる」とか、そんないかにもな売り文句の参考書を探しに本屋にでも行ってみるか?

自分の性格は俺が一番良く知ってるはずだ。
やる気があるうちにやらないと、絶対にやらない。
そんな男なんだ、俺は。


そんなワケで、俺は一先ず本屋に向かう事にした。


駅の方になら、レンタルビデオショップと一体のデカイ本屋があるのだが、今の俺には娯楽の誘惑なんて最大の敵過ぎる。
面白そうなビデオなんて見つけた日にゃ、借りてテスト勉強そっちのけになりかねないからな。

それについこの間、家の近くの商店街にも小さい本屋がある事を確認した。
そうなれば、別にビデオを見に行くわけでもなし、わざわざ駅の方に行く必要もないだろ。


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