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雪月花

よくよく考えてみれば、俺はれいんの学力については何も知らなかった。

顔色一つ変えずに豪語するくらいだ。
コイツ勉強得意だったのか?
教えてもらえば良かったぁあああ…ッ!

机に一人でガンガンと頭を打ち付ける。
何かツッコミが飛んでくると思ったが、皆さんは答え合わせの方が重要らしく、誰も俺に見向きなんてしなかった。
このまま頭がカチ割れるくらいまで叩き付けたら、逆に頭良くならないかしら。


「ちなみにさ、最初の記号問題の答えだけど――――」
神童が、今俺が一番気になっている事を聞き出そうとしている。
咲羅から、れいんから!

必然的に俺の耳は大きくなる。
この喧騒の中、それを絶対に聞き逃すまいと。

「あの記号問題の答えって、一問目から順に『イ』『ア』『ウ』『イ』『イ』『イ』『ア』で良いの?
四問目から『イ』が三問連続だから不安でさ」

―――――えっ?

それを聞いた咲羅は、
「えっ?四問目から『イ』が四問連続じゃなかった?」

一問目から『ア』が四問連続じゃなくて?

俺の顔から血の気が引いていく。

そんな俺なんて気にもせず連中は、
「とりあえずあんま自信はないけど、二問目は『ア』で間違いないよな?」
「うん、二問目は『ア』だね」
「残念。私『イ』にしちゃった」
「ははっ!ドンマイだぜ、れいんちゅわん!うっかりさんだな」
「神童くんだって七問目間違えてるクセにッ。六条さんの事言えないわよ」
「おっと、こりゃ一本とられたぜ」
HAHAHA…と一斉に笑う一同。
無駄にウィットな感じが実に腹立たしい。

ってか、
二問目『エ』にしちまったからぁぁあああああっ!
結局『ア』で良かったのかよ!
てか、今神童の言ってた解答…
俺のと全然違かったんですけどぉぉおおお!?

特に咲羅もれいんも指摘しなかった所から察するに、あれが大体正解って事か?

やばい。これはヤバス。
記号問題全滅…じゃね?

俺の体が無意識にガタガタと震えだす。
寒気がするのに冷や汗が止まらない。

出来る事なら、今すぐバルス!と叫んで学校を破壊してやりたいくらいだ。
飛行石なんざ持ってねぇけどさ!

それがダメなら猫バスに乗ってどこか遠くまで逃げ――――

キーンコーンカーンコーン。

チャイムは無情にも、生徒の声を切り裂いて鳴り響く。
高らかに、ただ高らかに。

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あきゅろす。
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