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雪月花


テスト初日を無事に終え、意気揚々と帰路につく生徒達。
まだ数日の間、テストと言う名の地獄は続くと言うのに、初日の重圧から解放された生徒達のその声には確かに明るさがあった。

まぁテスト勉強を入念にやって来た生徒からすれば、午前中で学校が終わるってのはこの上なく喜ばしい事なのだろう。
笑い声まで飛び交うのも理解は出来る。

「……」
そんな歓声の中に混じって下校する、一人ゲッソリとやつれた顔の俺。
最早今の俺からは微塵も生気を発してはいない。


結局、三教科目の現国も見事なまでの玉砕だったのだ。
二教科目の世界史の動揺を隠せなかった…
と言うのが正直な理由だろう。
まぁどっちにしても国語は俺の苦手教科の一つなのは事実。
動揺してようがしてなかろうが、結果は同じだった気がする。

うぅむ…こんな八方塞がりの状況で実感するのも甚だおかしな話だが、
テストとかに追われていると、やっぱり俺も普通の高校生なんだなぁと思う事が出来るのだ。

もうね、れいんや葉月さんとつるんでると、自分がどんどん普通の人間からかけ離れてってしまってるんじゃないかと思ってしまって、鬱になるんだよ。
判って欲しい。

いざ戦場に赴けば、現実離れした吸血鬼とのバトル。
奇術やら何やらと訳の判らない設定。

夜な夜な吸血鬼殲滅ライフを送ってる俺からすれば、この他愛もない日常生活が恋しくて仕方なかったワケだ。
ただいま、日常!


あ、とりあえず、ここ最近の俺とれいんの活動についても説明しとかないとな。

純志麻を倒してからも、俺達の吸血鬼殲滅活動は変わらず続いている。
未だにラスボス吸血鬼に関する情報をこれっぽっちも手に入れられてない状態ではあるのだが、それでも、純志麻戦の時と比べても俺とれいんは確実に強くなっている。
今なら純志麻級のボス吸血鬼が出てきても、前より良い戦い方が出来るだろう。

ってか、結局れいんが何で死なないのか聞かず終いなんだよな…
一度タイミングを逃してからと言うもの、別にどうでも良くなってしまったと言うか。
やっぱりリザオラルを唱えられるのか、奇術師だし?
ま、これに関してはそのうち機会があれば聞こうと思うが。

うん、俺がテスト勉強出来なかった原因の大半が上記のせいだろう。
これまで遅刻やら早退やら休みやら進級に響く事ばっかりして来たし、今回はそれを取り戻すくらいの気合いでテストに臨むつもりでいたのだ。

それがなんだ?
とっとと殲滅を終わらせてテスト勉強をしたいって時に限って吸血鬼の野郎共はわんさか出てきやがる。
いつもなら殲滅活動も一時間ちょいで終わるのに、最近は数時間かかってしまい、帰って来るのも夜中。
完全におねむの時間だ。

奴らは俺にテスト勉強させない気か?

いやね、殲滅しに行く前に勉強すれば良い話なんだけど、なかなかその時はやる気が起きないと言うか…

もういいや。
ぶっちゃけた話ね、やる気はあるんだけど、いざテスト勉強をするとなると眠くなっちまうんだよ。

教科書見たって判んないんだもん。だって授業出てないし、出てても居眠りしたりしてんだもん。
教科書読んだだけでソレを理解出来る程の頭なんて持ってないしな。

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あきゅろす。
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