自主休講
※高校生、現パロ、(久々知視点)
ふと、急にだ。朝学校に行く支度をしていた時、何の前触れもなく虚無感に駆られた。
学校に行くこと自体は嫌ではない、しかし何故俺は今から学校に行くのだろう、行かねばならないのだろう、と疑問に感じてしまった。
学校は友人もいるし、楽しい場所だ。
だが、何故今、俺は行かなきゃいけないんだ?
一度この気持ちを手にしたらもう止まらなかった。
少し頭痛もあるようだし、何時も皆に「無理すんなよ」なんて言われる俺だ。今日はお言葉に甘えて学校を休むことにした。罪悪感もない、気紛れってこういうことを言うのだろう、なんて思った。
ベランダを開けると少し風があり、ゆらゆらとカーテンを翻した。穏やかな日差しを全身に浴び、過ごしやすそうな日だと感じた。床にごろりと背をあずけると瞼が自然と落ち俺はいつの間にか浅い眠りについた。
―目が覚めた
その一時の眠りは俺の虚無感と疲れを取り払ってくれたようだ。なんだか胸がポカポカとしていて、自然と頬がほころんだ。こういうのも偶には悪くないなと感じた。
今は何時なのだろうか、時計を確認しようと携帯を開くとそこにはメールが6件と着歴が3件入っていた。
ひとつひとつ中身を確認するとたいそう俺のことを心配している内容だった。俺は申し訳ない気持ちになり、あわてて着歴の一番上にあった三郎に電話をかけた。
『兵助!!!!お前生きてたか!!!!』
「いや、そりゃ生きてるだろ…」
『お前なあ、こっちでは本気で心配してたんだぞ!?真面目なお前が無断欠席って…おい、聞いてんのか!?』
―不覚にも目頭が熱くなった。こんなにも俺のことを心配してくれていたのかと。当の本人は気紛れで休んだだけだったというのに。
『お前どうしたんだよ?』
「ああ、ただちょっと寝すごしちゃって」
『こんな時間まで?』
時計を見ると2時を回っていた。我ながら苦しい言い訳だ。
「…ああ、うん」
『まあ…無事ならいいんだけどさ』
「…行くよ。今から」
『は?どこに』
「どこって学校だよ」
『いやいやいや、もう授業終わりますよ』
「うん、だけどお前らに会いにいく」
『…』
「…?」
『事故んじゃねえぞ』
「うん、またあとで」
『ん、またな』
電話を切って俺はすぐさま家をでた。自転車を走らせると、ペダルを漕ぐ脚に自然と力が入った。
日差しは先程よりも強くなっていた。
俺の胸も
熱く
熱く
なっていた。
自主休講
「兵助なんだって?」
「今から来るってよ」
「は?今から!?」
「俺に会いたい…ってさ」
「…三郎?」
「あ、嘘です。皆さんに会いたいそうです。」
0615
愛され兵助!
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