[携帯モード] [URL送信]

フリー小説置き場
静かな月夜にA
ぼんやりと水のせせらぎを聴いていたクロエは、不意に右肩に重みを感じた。

顔を向けると、セネルがもたれかかるように目を閉じていた。

「ク、クーリッジ…?」

「悪い、クロエ…。
少しだけ、こうさせてくれ」

肩にかかる重みはたいした重さではない。
だから、慌てて放そうとすればできたはずなのに。
どうしてもそれができなくて。

しばらくされるがままだったクロエは、そっとセネルの方を見た。

「…もしかして、疲れたのか?」
小さな声で話しかけると、返事が帰ってきた。

「まぁ…今日はウィルに駆り出されていろいろあったからな…」
ウィルの手伝いをしているうちに、すっかり街の人々から頼られるようになったセネルは、なかなか忙しい日々を送っている。

本当は、疲れていたのだろう。
それでもこうして、自分との鍛練のために時間を割いてくれる。
そんなセネルの心遣いが嬉しい。

「クーリッジ。疲れているのなら、今日はもう…」

この辺りで、切り上げようか?
と、続けようとしたのだけど。


[*前へ][次へ#]

3/4ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!