[携帯モード] [URL送信]

Main
< ハジマリ >



「―――あの転校生。気に入ったよ」


クールビューティ―と呼ばれる生徒会副会長が、そう微笑んだ時。






――『歯車』は回り始めた。





「本当におもしろい人物です」

時期外れの転校生を迎えに行った男は、はんなりと微笑んだ。そして、気取られない程度、一瞬ちらりを視線を飛ばす。

目と鼻の先をかすめて通ったその視線の行き先に、残念なことに神埼卓(かんざきすぐる)は心当たりがあった。



「へ――。紺野がねぇ?それは一見する価値有りだな。な〜?宗助?」

素知らぬ顔で、机に載せた足を組み直す。隣では無口は相棒が、小さく身じろぎした。



・・・とうとう動くか。


――卓は何の変哲もない白い生徒会室の天井を見上げた。



物腰柔らかで品が良く、もっぱら『王子様』と名高い生徒副会長。その紺野真彦(こんのまさひこ)は、冷静沈着でずる賢く、己の利益にならないことはしない、そうゆう男だ。

そんな男に気に入られたら最後、頭からバリバリと知らぬ間に食われてしまう。

だから。




―――ご愁傷様。

腹黒王子が獲物を思って微笑んだ時、卓は相手の獲物へ慰めの言葉を贈った。




[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!