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< 道化師遊戯 >
しとしと。しとしと。
梅雨入り前の雨が窓を濡らし、曇空には夕日もでない。雨に濡れた放課後の校庭には人影すら見当たらない。
エアコンが少し寒いぐらいの生徒会室は、その日。
――いつになく静まり返っていた。
「雄大がっ!!親衛隊の奴らに!!」
息の荒い言葉とともに、厚いその扉が開かれるまでは。
学園でもその名の通った不良が走りこんできた時。『だから』、彼らは眉ひとつ動かさなかった。
――誰もが共犯者だ。
一人は、不遜に。
一人は、自虐的に。
一人は、性悪に。
そして、一人は酷薄に。
とある転校生が齎した、『嘘』で塗り固められたこのゲームが、とうとうクライマックスを迎えることを感じていた。
複雑に絡み合った偽りという名の糸がほぐれた時。
勝者となるのは誰か。
―――わかる日は近い、と。
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