2 あらかじめ1人がいいということをいってあるため、送り迎えはする、というのを条件に了承したのだ。紅葉にだって1人になりたいときぐらいあるだろう。それにその場所は、安心出来るところだから。菖蒲もすんなり頷くことが出来た。 「いこう蓮見。…先帰っててもいいけど…」 「……ま、つ。紅葉、待ってる」 「(コク)」 「じゃあ、草壁先生にもよろしくね」 そう、3人のいる場所は、保健室の前。蓮見を連れて菖蒲が立ち去るのを見届け、紅葉はノックをしてその部屋に入った。といっても外での会話が聞こえていたのだろう。智春は特に驚きもせず、イスに座れと促してきた。 いつ頃から気づいていたのだろう。なんと、ミルクたっぷりのコーヒーまで用意されているではないか。 「!っ…(ありがとっ)」 「まだ苦かったら自分で調節しろよ」 「(コクコクッ)」 「クッ…感情豊かで何よりだ」 目を見開いて笑顔でお礼をいって。かと思えば焦ったように頷き、そして口をつけて熱い!という顔をする。見ていて飽きない、紅葉の可愛らしい部分に智春は自然と優しそうな笑みを浮かべた。 あの子とは、正反対なんだな、と。 [*前へ][次へ#] [戻る] |