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(…紅葉のがかわええんや……はっ、ちゃうちゃうっ!)
『名前なんてゆうん?』
「………紅葉」
『紅葉ちゃん?かわええ女の子やねーパパとお散歩ええでちゅねー』
「ぅ?」
「……男や阿呆」
『男の子?!あらやだ、堪忍ねー』
やはり他人が見ても女の子に見えるのか、妙に納得した若葉だった。無意識のうちに紅葉のほっぺをいじりながら、隣のオバハンがいってることを聞き流す。
「わ、わか…っ、ゎ、」
「……若葉だっつってんやろ」
「ぅー?わかっ!」
──にーっこり
『あらぁかわええっ。名前で呼ばしとるんやねぇ』
「チッ、どーでもエエやろうがっ。帰るで紅葉」
『もうっ、残念やわぁ』
ウザいとでもいうように舌打ちをし、紅葉を抱き上げてその場を立ち去る。日陰にいたといっても紅葉の体温は少し上がってしまったようで、若葉はタオルを頭にかぶせながらコンビニへ向かった。
買うのはレトルトにインスタント、そしてお酒だ。タバコは吸わないからいいものの、そんなものしか買わない若葉に、店員は怪訝そうな目をむけていた…。
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