3 (…紅葉のがかわええんや……はっ、ちゃうちゃうっ!) 『名前なんてゆうん?』 「………紅葉」 『紅葉ちゃん?かわええ女の子やねーパパとお散歩ええでちゅねー』 「ぅ?」 「……男や阿呆」 『男の子?!あらやだ、堪忍ねー』 やはり他人が見ても女の子に見えるのか、妙に納得した若葉だった。無意識のうちに紅葉のほっぺをいじりながら、隣のオバハンがいってることを聞き流す。 「わ、わか…っ、ゎ、」 「……若葉だっつってんやろ」 「ぅー?わかっ!」 ──にーっこり 『あらぁかわええっ。名前で呼ばしとるんやねぇ』 「チッ、どーでもエエやろうがっ。帰るで紅葉」 『もうっ、残念やわぁ』 ウザいとでもいうように舌打ちをし、紅葉を抱き上げてその場を立ち去る。日陰にいたといっても紅葉の体温は少し上がってしまったようで、若葉はタオルを頭にかぶせながらコンビニへ向かった。 買うのはレトルトにインスタント、そしてお酒だ。タバコは吸わないからいいものの、そんなものしか買わない若葉に、店員は怪訝そうな目をむけていた…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |