2
ちょこん、と座り、あーうーいいながら周りを見渡す紅葉に、睨みをきかせながら内心悶える若葉。少し異様な組み合わせだ。
「暑うないかー…?」
「んっ!」
「……平和やのぉ…」
(……組入っとるもんのいうことやないか)
裏に足を踏み入れて1年、未だ帳簿の整理などしかやらせてもらってないが。腕を紅葉のお腹に回しながら、若葉は顔を上に向けて目を閉じた。こんなに穏やかな時間、いつ以来だろうか…。
『あらあら、わっかいパパやねーぇ』
「………あ゙?」
『育児休暇でもとっとるん?ええわぁ、うちの旦那もしてくれへんやろか』
「なんやオバハン」
『お姉さんゆうてぇな。育児仲間やん』
突然話しかけてきた、こちらも同じく赤ん坊を抱いた女の人。若葉はうざそうに邪険に接するも、相手は気にしてないらしく図々しくも横に座ってきた。もとが怖い顔をしてるため、こうして普通に接してくる人なんて珍しい。若葉は少し驚いたように、でも迷惑そうに女の人を見た。
そして、腕に抱いている赤ん坊も。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!