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わざとクスッと笑って小首を傾げたら、それが意外にも効いたのか、辰巳は耳をちょっと赤くして顔をそらしちゃった。
そんな辰巳は半袖に長ズボン。
凄くおろしてるから、いつか踏んづけて転ぶんじゃないかな……。
見てみたいかも。
「あ、あのーお2人さん。とりあえず移動しませんかー?」
「……あ、ごめん弘樹」
「んだ、前田いたのか」
「タッツーひどい!全く、あの人たちに勝つにはチームワークも大切なんだぞー?」
「あははっ、ごめんね、ほんと。行こっ、頑張ろーなっ」
「お、おぅ…」
ちょっと弘樹をのけ者にしすぎたかも。こう…普段は何だかんだでクイーンといるからさ、そんなノリで2人で話し込んじゃうんだよね。
だから少し拗ねた弘樹の腕を掴んで、辰巳と一緒にエレベーターに乗り込んだ。
よしっ、気合いは十分!
◆
「やってきたぜ体育祭ーぃっ!」
『『イエーイッ』』
「いーねー気合い入ってんねー。猛練習してきた奴もそうじゃない奴も、今日は楽しもーぜーっ!」
『『わぁああ…っ!』』
「………うっせぇ…」
眉をしかめて小さく呟く辰巳に、苦笑いしか返せない。
まるでライブのようにマイクパフォーマンスをするジャック。
こういう行事はいつも彼が司会役だ。
まぁ…合ってるとは思うけど。
ジャックってその場に合わせて、テンションもちゃんと合わせてくるし。
「まずは注意事項。プラスで会長のありがたーいお言葉だ。静かにしっかり聞けよな!」
『『はーいっ』』
『……盛り上がるのもいいが、空回りしすぎて厄介事を起こさないようにしてくれ。正々堂々と戦うように。
もっとも、スポーツは喧嘩ではなく勝負であり、スポーツマンシップにのっとり…、』
「はーいお疲れ様ッス。んじゃ次、ルール!」
「……会長はいつもあんなんなのか…?」
「うん…会長としては申し分ないっていわれてるけど、こういう場ではちょっとね…」
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