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「カゴ貸せ」

「あ、ありがとうっ。んーと…トマトとパプリカ…」

「相変わらずシャレたもん食うんだな」

「シャレ?そうかなぁ…」


 そんなことはないと思っていても、見た目からしてもう綺麗だ。色とりどりの野菜を使ったり、オリジナルソースを作ったり。…遙香が作ったというだけで十分美味しいのだが。


 知ってる人がいない所で彰鬼たちといる場合、遙香は白のままだ。だから余計人の目を集め、彰鬼は周りに睨みをきかせる。遙香の知らない所で何人の人が血祭りにされてきたか…。


「付き合ってくれてありがとね」

「いや、なんかあったらすぐ呼べよ」

「うんっ、バイバーイッ」


(あーやっぱ可愛いわ)


 歩くと揺れる黒髪、小ぶりのお尻。遙香が家に入るまで見送っていると、最後に彰鬼の方を振り返って笑った。細められる目は可愛さよりも色気があり、不覚にもドキッとする。


 そんなことを知らない遙香はちゃんと鍵を閉め、夕食の準備に取りかかった。今日はパスタだ。赤いチェックのエプロンをして取りかかるそれは、とても手慣れている。こうするようになってもう5年だ。





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