4 「…よし、終わった」 あれから1時間後、海の勉強が終わったようでスッと顔をあげた。時刻はもう6:30。ほとんどの人が帰っていた。 「悪いな、付き合わせて」 『ううん。海くんと一緒だったからへーき』 少し疲れたような顔をして笑っている涼に、海は胸がキュンとなった。健気すぎる涼。このまま部屋へ連れて帰りたいとこだが、 『先に食堂いこっ』 の一言でその願いは崩れ去った。 食堂はまだそんなに人は居らず、好きな席を取ることができた。窓際の6人掛けの席。2人で隣り合わせに座っていると京一、竜也、陸の順でみんなが揃った。 「あ゙ー疲れたー。涼ぉー癒やしてー」 『お疲れ様、陸ちん』 そう言って涼は陸の頭を撫でた。本当はギュッと抱き締めて欲しいのだが、陸はその手に気持ちよさそうに目をつむった。…が、 「いって!誰だよ頭叩いたの」 「俺だが?」 「海ー!!俺の幸せな時間を邪魔するなーっ!!」 「うるさい黙れ」 「むきー!!」 また、言い争いが始まった。喧嘩嫌いな涼は普段はそう言うのに止めに入るのだが、双子の喧嘩=仲良しに結びついているらしく、微笑ましそうに2人をみている。 [*前へ][次へ#] [戻る] |