5 「なっ…何笑ってんだよ涼!!」 『だって…仲いいなって。兄弟喧嘩とかいいなって』 「よくない。涼は一人っ子なのか?」 『ううん。でも……したことないから』 そう言って笑った涼の顔はどこか遠くを見ていて、凄く悲しそうな顔をしていた。儚くて、でもきれいな笑顔。みんながそれに見とれてしまった。 *竜也side* ご飯を食べ終えたころ、涼が外をみてこういった。 『あ…今日の月は何か赤いね』 「ん?あー確かにな」 窓際に座ってた京一が外をみて頷いた。双子も身を乗り出して見ている。 …でも、俺は? 動かない。体が動かないんだ。 真っ赤な月、 闇夜に浮かび上がる血の色。 血の、色……血の、匂い。 『たっちゃんはみないの?』 「え、あ、俺は大丈夫だよ」 『そっか』 大丈夫…? 何が…? 俺は…… 俺は…… 誰だ? [*前へ][次へ#] [戻る] |