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「あぁ、もう夏祭りの時期なのね」
主婦業には休みも何も関係ない、とよくお母さんはぼやいている。買い物に出かけたりするとはいえ、ほとんど毎日家にいると、季節も関係なくなるらしい。
「うん」
「でも、珍しいわね。遥が夏祭りに浴衣着ていこうとするなんて」
言われて気付く。
夏祭りといえば浴衣のイメージだが、自分でそれを着ることはここ最近考えていなかった。大抵Tシャツとジーパンで済ませる。
だが、先輩に祭りに誘われて、そういや浴衣あったかな、と自然に考えていた自分に気付いた。
「なんでだろ?」
自分でも不思議だったので口に出したら、変な顔をされた。
「変な子ね。でもまぁ、とりあえず出しておくわね」
「お願いします」
話を終えた母が部屋を出ていくと、私はまたベッドに寝転がった。仰向けのまま、深く息をする。
寝返りを打って視界に入ったカレンダー。夏祭りまであと三日。
ちょっとだけ、胸が騒いだ。
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