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「楽しかったですね〜夏祭り!」
そんな僕の内心なんてお構い無しに、遥は笑顔で同意を求めてくる。
「確か会場に行ったら美術部のメンバー皆いたんですよね! すっごい偶然でしたよね」
思い出を共有できるって素敵なことだ。
でも少し、僕は互いの記憶の中にいるお互いへの意識の違いに胸が苦しくなるのを感じた。
「また行きたいなぁ」
夕空を眺めながら、遥が呟く。
「行く?」
「え?」
咄嗟に出てしまった言葉。
きょとんとする彼女。ちょっぴり皮肉が入る、僕。
「二人しかいないけど」
遥にとっては部活の仲間の一人でも、僕にとっては遥は一人で。
そんな、ずっと前から抱いていた感情を打ち明けられない僕は、思わずそう言ってしまった。
すると今度は遥が立ち止まってしまった。
そのことに数歩先に行ってから気付いた僕は、遥を振り返った。
「遥?」
「……きます……」
「え?」
「行きます! 夏祭り!」
「……」
大声で言い切った遥の頬は、夕日のせいか赤く染まっているように見えた。
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