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風が心地いい。屋上も悪くねぇな。
休日に学園に来るなんざ、俺らしくないのは重々承知だ。
だが、同室の奴が恋人を連れ込みたいとか何とかで、追い出されたわけだ。
まぁ、相手は男だが。
「はー……」
部屋を出る前、同室の奴が言った一言が引っ掛かってならない。
“柳も、あいつ連れ込むときは言えよ”
含み笑いに無性に腹立った。目付きがヤバくなった事に焦ったのか、アイツは言った。
“お前らデキてんじゃねーの?”
「何で木瀬なんだ……」
てっきり白河の名前が出てくると思っていた俺は、意表をつかれ何も言わずに一発殴った。
「あの噂……白河の事、そんな言うほど広まってねぇのか?」
それならそれで少しは気が楽だ。
街にでも繰り出そうか悩んだが、ここ最近休日になると木瀬はいなくなるし。
今日は……誘う気になれなかった。
「…………」
ただ、このままここにいるわけがない。
どう時間を潰すか考えたら、白河の顔が浮かんだ。
……白河、今部屋にいるか? 考えたらケー番すら知らねぇし、部屋に行ってみっか。
体を起こしたら、さっきより幾分か冷えた風が口笛を吹いた。
◆ ◆ ◆
校舎の階段を下りながらあくびを咬み殺す。
そう言えば、白河の部屋に行くのはあの日以来だな……。
あの時、意味深なことを言っていた野郎――澤村も、あれ以来見ていない。
あの日から、白河は必要以上に会いに来ることがなくなった。
話を聞いたら生徒会が忙しいとか何とか言ってたけど。
(嘘だろうな……)
いくら俺でも、それくらいわかる。
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