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…6。




それから、幾つかの書類手続きを済ませて職員室まで案内された。

突然着任の決まった俺は、他の職員より少し遅れての職場入りになる。
その為、初めて足を踏み入れた職員室はみんな思い思いに準備を進めている為そんなに人数はいなかった。




「新任の原田翔汰です!
なにぶん新米なので至らない所もありますが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします!」


少しあがり気味の固い挨拶に、笑いながら返してくれる同僚に少しだけ安堵していると、


「いいの?ご鞭撻なんてしちゃって。」

にこにこと話しかけてきてくれたのは、二年D組の担任、古川無限(ふるかわむげん)先生だ。


…無限なんて凄い名前。
なんて思いつつ首を傾げると、

「…本当に鞭打っちゃうよ?」

なんて冗談を飛ばしてくる。



「アンタの席は俺の隣な?2Dの副担ガンバッテネ。」
「えっ!?俺、副担なんですか…?」


俺の驚きぶりに「知らなかったの?」なんて聞き返されて素直に頷いた。

だって聞いてない!初耳だ!


途端に不安になって眉を下げると、

「まあ、担任たって副だし。1年や3年と違ってそんなに大変じゃないから大丈夫だよ。
なんせこの俺様が居るんだからな。」


…うわっ!何この人、物凄く偉そう。
絶対攻めだ!しかも俺様ドS!
バリタチに違いない。


また腐男子思考で妄想を繰り広げていた俺は、脇で「それじゃ、無限先生あとはよろしくお願いしますね。」なんて夏兄が去っていくのにも気付いていない。



「じゃあ荷物持って行くぞ。」
「え!?あ、はい。
じゃあ、夏に…あれ?」



お礼を言うつもりだった夏兄がいつの間にか居なくなっていたいて間抜けな声を出すと、さっさと出口に向かって行った無限に「見かけ通りトロいね」なんて言われてしまった。
くそー。反論出来ない。


とりあえず荷物を持って他の先生方に頭を下げながら職員室を出ると、どこからか冊子を取り出した無限が俺にそれを手渡してきた。



「はい、これが学園マップね。
慣れるまでは常備しといた方がいいよ。
とりあえず、これから校舎をグルッと一回りしてから職員寮な。」


なる程、どうやら無限が慣れるまでの世話役みたいだ。






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あきゅろす。
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